探査機はやぶさ

ひとまずは一段落したミッションですが、今後はその成果や評価があちらこちらから出てくる時期になるわけで。その中で、ここしばらくネット上で非難の的にさらされている日経新聞の記事(→http://www.nikkei.co.jp/neteye5/shimizu/20051219nd8cj000_19.html)があります。編集委員の清水さんは長く記者を続けておられるとは思うのですが、素人目から見ても何か非常に凝り固まった思考(あるいは結論ありきの思考)で執筆された印象をぬぐえません。成功か失敗かがわかりにくいと有りますが、JAXAのHPを見れば「はやぶさのミッション内容」「ミッションごとに箇条書き」「それに対するJAXA内での評価(点数)」と専門家でなくとも、ちょっとはこの手のことに興味がある人間であれば容易に理解できる情報が載せてあります。
「問題の解決のためには、それを細分化して要素を分類・抽出し、どこが良くてどこが悪いのかを調査する」のは、今回の件に限らずあらゆるシーンで必要な判断です。それをすべて無視して「とにかく成功なのか、失敗なのか」で切る行為は、自身で理解・判断することを最初から放棄している行為であることを、仮にも大新聞の編集委員を名乗る方が理解されていないとは思いたくはないのですが・・・。
もちろん、JAXA側の広報にも問題は多いでしょう。今回はたまたまその問題を理解された方々が広報の先頭に立って、理解も徐々に深まってきた*1「現場担当の」記者の皆さんに説明を行ったからこそ、という認識も必要です。・・・が、「無知蒙昧な一般市民に、正しく真実を伝える(と自称している)」マスコミがこれでは、ネットを使ったメディアテラシーが徐々に広がっている現在では、ただ嘲笑の的になるだけかと思います。
なお、この件の詳細は、「はやぶさリンク」:日経新聞・清水正巳編集委員の記事に関して: 松浦晋也のL/Dが詳しいです。

*1:以前より、日本マスコミの科学系記者の無知さ加減は、現場や天文ファンのみならず、海外マスコミでも呆れられています。宇宙作家クラブhttp://www.sacj.org/)でも、機会あるごとに馬鹿すぎる質問をした記者に対して「ラズベリー賞」を発表しています