サクラ大戦V

サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 通常版

サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 通常版

今更ながら一周終了。ずいぶん評判が悪いとは聞いてたけど(売上もミス巴里に次ぐ酷さらしい)、この内容では確かに擁護のしようがない。書き始めるときりがなくなるので箇条書きだけ。

  • 問題点
    • せっかくV-0があったのに、なぜそちらの話がほぼゼロなのか。なんのためのデータ連動だ。
    • V-0主人公のジェミニ参戦が遅すぎ。しかもようやく参加したと思ったら直後に最終決戦。これまでなら、全員終結後に数話をかけてチーム内ドラマを広げて感情移入をさせてから決戦だったのに・・・これではまるで突然打ち切りが決まったアニメのようだ(あるいは予算が尽きたのか)。
    • キャラの魅力が非常に低い。これはキャラ発表時の段階から危惧されていたことで「でもゲームでプレイすれば違うよ」という思いが残っていたが、(自分にとって)Vプレイ後にその法則に適合したのキャラはジェミニとサジータのみ。
    • 明らかに購買層を間違えている。新規開拓は分かるし、新しいパイとして「腐女子」を選ぶのもいいが、そちらにばかり目が行って本来の「過去作品から(懲りずに)ついてきてくれるお客さん」をそっちのけの内容。エッセンス程度なら良かった(女装の話だけとか)。が、物語・必殺技・キャラ言動に至まで片っ端から狙っているようでは開いた口が塞がらない。そもそも、ギャルゲーとして有名すぎる本タイトルをプレイする女性ゲーマーが腐女子全開ストーリーを本当に望んでいたのか?
    • 他作品からの引用・応用は、うまくやれば「オマージュ」、失敗すれば「パクり」となる。そして本作のそれは「ひどいパクり」の一言。
    • 「アメリカ」「紐育」をテーマにする必要があったのか?最終決戦イベントムービーでサニーサイドが「アメリカを舐めるな」と叫んでいるが、あのシーンを見た私は「お前が言うな。今お前が操っているそれはアメリカなのか」と辟易。V-0の方がよっぽどアメリカらしかった。それともあのシーンで「笑え」とでも、脚本家さん。
    • アメリカの歴史(しかも1920年代)を知っていると、インディアン殲滅について一切の言及がなかったり、当時は「洗濯屋(日本ならえた・ひにんに匹敵する蔑視語)」扱いだった中国人の地位が向上しすぎ等、ロケハン出した意味すら疑問の舞台設定。
    • ミニゲームの有無は気にしていない。が、この本編がこれなら有った方が多少気は紛れたろうに。
    • 空陸戦闘が可能になったから3次元的な戦闘要素もあると思ったのに。エセblitz Krieg とかやりたかった。
    • etc.

サクラ大戦シリーズは、中心となる制作スタッフを変更せずに続けていくことでもあると某専門誌に書いてあるのを見たことがある。看板だけ同じで中身が全く異なるFFシリーズの対極と言え、その方針は一定の品質維持という点では客に安心感を与える。・・・が、これは別の問題を含んでおり、中心となる制作者達(ほとんどがすでに地位も名誉もある人)が謙虚に時代と客を見て勉強し、さらなる進歩を行わないとあっという間に腐りはじめるということだ。本作の場合、映像技術やプログラム技術はセガの技術力がまだ(幸いに)健在であるためどうにかなっている。・・・が、脚本は完全にアウト。もはや「王道」という言葉で擁護するにも値しない。「完全に腐ってやがる」(byクロトワ)と言いたくなる演出・脚本のオンパレード。はっきり言ってセンス古すぎ&「俺が楽しければ客も楽しいに決まっている」という理屈ばかり見える。猛省を望む。「サクラ大戦」というブランドは、かつてほどではないにせよまだ有効なのだから、十分に反省して*1出直して欲しい。

*1:今は亡きREDのBBSに広井王子自身が反省文を書いたという噂もあるが・・・OHPのBBSですらそんなに荒れたのか