テス(下)

テス 下 (岩波文庫 赤 240-2)

テス 下 (岩波文庫 赤 240-2)

読了。正直作者のハーディが「修飾過多な表現」「作者自身のナレーション」を多用しているおかげで、一冊の物語としては非常に読みにくい作品だった。・・・が、全編を通じている不幸で救いようのない展開というのは、そんじょそこらの鬱展開のドラマは軽く凌駕する状況になっている。文字通り神も仏もなく(英国文学に仏陀の出る幕はないけど)、人間の不幸な縁だけで純朴でけなげな美人田舎娘を最期まで翻弄してしまう物語展開は当時の流行だったのだろうか。あるいはハーディが「悲劇のヒロイン萌え」だったのかもしれないけど。テス・ダービフィールドの魂が最期に幸せを掴んだことを祈って。