ユリイカ 12月臨時増刊号 総特集・初音ミク

そしてこちらも衝動買い。ただし長い歴史を誇る文芸雑誌の増刊だけあって、その内容は「初音みっくす」の対極にある。もう全編が様々な分野の人々によるおのおのの立場による「初音ミク」考察であふれていて(その中には、ねとすた出演でも知られる白田秀彰東浩紀もいる)、「初音ミク」という存在や、彼女を中心とする様々な現象について極めて専門的かつディープな枠組みで語られている。はっきり言って、「ミクかわええ〜」だけで手を出すべき本では決してない(苦笑)*1。安くないし。
逆に、こういう話に少しでも興味があるのであれば、是非とも手にとって読んで、ここで語られ議論されていることについてうだうだ考えてみるのは楽しいと思う。分からない言葉も多いだろうけど、それらを一つずつ補足的に調べていけば、読み終わる頃にはかなりの知識が追加されているはずだし。それだけの示唆に富んだ内容になっていると思うし(結論はどこにも語られていないけどね)。
個人的に非常に気になったのはこの二カ所かな。

  • 目次

テーマ別にまとまっているなあ・・・と思って本誌をめくっても記載順番が目次順とマッチしない。というのも、目次とは名ばかりのテーマ別インデックスだから。同じテーマを一カ所にまとめているだけであって、下に書いてあるページノンブルはバラバラである。

  • 佐藤雄一「(有力な詩人はみなこの歌を見捨てた)と」。

・・・もしかして、ジョイスの「フィネガンズウェイク」を翻案してません?もしそうなら、そのつもりでこの詩を読み解かないとダメですか?

これ以外にも興味深い記事はあったけど、個人的インパクトの強さで言えばこの二つになる。ちなみに、Volaloid以外にも「ニコニコ動画」「iDODLM@STER」等も考察の一要因として材料になっている所からしても、ちゃんとニコニコ動画の昨今の状況を把握した上できっちり討論されていると思う。なので記載内容に極端な偏向もないから、興味あるなら是非読んでみるといい。

*1:正確には、数編に限定すればライトなファンでも十分楽しめるものもある。ただ、やっぱりすべてテキストだけど。