「空へ〜救いの翼」

http://www.sorae-movie.jp/top.html
そういえばまだ見てないなあ・・・と気がついたので見てきた。「よみ空」つながりで興味があったし。
先に悪い点を上げてしまうと、一部を除く役者さんの演技が未熟(主演を含む)。「もしかして現役自衛官で役者っ気のある人に頼んだ?」と思ってしまうくらい。あと脚本かなあ。なんか「よみ空」と「Rescue Wings」のエピソードを切り貼りして、それを淡々と垂れ流しているだけのように思えた。こういうのって、一本勝負の映画の脚本としてはどうなんだろうなあ*1。あと音楽が邪魔すぎた。もうちょっと落ち着いて画面を見させてくれよ・・・と思ってしまう場面がいくつもあった。
逆に、「よみ空」「Rescu Wings」の既読者であれば色々と楽しめると思う。前述のように、出てくるシチュエーションはそれら作品で使われた物が非常に多いからニヤニヤできるし。あと自衛隊好きとか航空機好きとかにとっても楽しめる・・・というか見なければ損をすると言っても良い*2。とにかく、ヘリや戦闘機・海自協力のシーンの迫力が物凄い。よく協力・協賛とあっても「飛んでるだけ」「走っているだけ」みたいな映像が多いけど、本作は様々な状況での救難隊活動をシーンとして切り取る必要なだけあって、様々な角度、シチュエーションがてんこ盛り。アニメーションだから出来たんだよな〜と思っていたシーンがリアルで再現されるのを目の当たりにすると、「空自ヘリパイロットすげー」とあんぐりするしかない。裏方(整備班や司令部)もきっちり描いているので、そういうのが好きな人にとっても見る価値はある。あ、あと軍服マニアも嬉しいかもしれん。ただ、あえて言えばパンフレットを読まない限り、劇中における様々な飛行テクニックが「超絶技巧に等しい部類である」ことがさっぱり伝わらないのが残念すぎる。そういう『まさに職人芸』な部分をきっちり見せて観客に凄さを見せるのも大事だと思うんだけどね。
演技の部分では、自衛隊(軍隊)風の慣習や規律については、ちゃんとリサーチして反映している感じがした(オレはさほど詳しくないけど、自身の知識の中では。)。敬礼に関する序列やタイミングとかもちゃんとしてた感じだし。飲み会で大半の人がビール瓶で乾杯していたのも空自・・・というか小松救難隊の流儀なのかな。あとあのスナック、スタッフロールを見る限り実在の店みたいだけど、おばちゃんの素人臭い演技からして、もしかして本当にあの店のオーナーだったんだろうか。だとすると、すごいサービスだなあ。
あと、主演の高山侑子さん。前述のように演技についてはまだまだと思うけど、キャラクター性は十分にあると思う。見た目も可愛いし、真面目な表情もけっこう絵になる。うまく成長していって欲しいな。
まとめると、『映画としては特筆すべき事はないけど、原作や空自&飛行機ファン等の「マニア」系の人なら見る価値あり』といったところ。*3
なお、見に行った劇場「角川シネマ新宿」は良い所だった。席はゆったりしていて背もたれは頭の上に届くほどで音響も落ち着いてる。長時間大作見るなら、ベストな劇場と思う。まあ、飲食品を買うために一度受付を出なくてはいけない(=再入場手続きが必要)なのはちょっとだけ不便だった。半券見せるだけなんだけど、手に荷物持っていると不便。

*1:・・・というか、役者と脚本を否定したらもはや映画じゃないじゃん、と気がついた。別に貶めるつもりは全くないんだけど。

*2:よみがえる空」のプロデューサーとして有名な杉山Pは無類の飛行機好きとして有名で、ご本人プロデュースの空自ファン向け映像作品も沢山作っているから、人脈も有効に生きたんだろうな。

*3:自衛隊を潰したい団体"様"なら「戦争賛美のプロパガンダ映画」とか言いそうだ。