ソフ倫・児ポ法・単純所持の個人的整理

政治や人権思想団体、あげく宗教団体まで出てきて、「児ポ法」一つに好き勝手に様々なトラップを仕掛けはじめた結果児ポ法自体が、『誰も管理できていない壮大なトラップハウス』になってきている*1。おかげで、色々反対意見をここに書いている自分も混乱してきたので、個人的な整理も含めてできるだけ簡潔にまとめる。
が、簡単に言えば「誰も被害者児童の話をしていない」「どの議論も現行法内で処罰可能」「XXX君が持っているから、僕も欲しい!仲間ハズレになっちゃうよ!」というだけ。本音を言えば、この「改正論議」そのものが現実を見ていないナンセンスなもの。だから、自民と民主どちらがマシなのか、と言う議論も本当はやりたくない。現状が悪化することには違いないから。

  1. 児童保護
    • 児ポ法は「実在する児童の人権擁護を目的とした法」である。犯罪等の判断能力が弱い児童の人権侵害と人権擁護のための法であり、その主旨は大いに賛同するものである。
    • しかし、現在の論議はそれを大きく逸脱している。それが本当に「実効性のある方法なのか」という議論はまったく行われておらず、「欧米で」「海外で」「フォーラムで」という他人任せの主張と、「私が嫌だから」「キモイから」という個人的感情&信条に基づく議論と主張しか行われていない。(海外では、キリスト教的思想が強く反映していることも忘れないように。
    • もはや、誰も「実際に人権が侵害されている&されうる児童の保護」を見おらず、どうやって「犯罪予備軍の枠を広げるのか」ということしか考えていない。
    • ちなみに、「児童とは」の年齢枠は各国で異なっている。日本は「18歳以下」だが、各国は「12〜13歳あたり」がボーダー。しかし線引き議論もなされていない。*2
    • けっこう忘れ去られがちだが、「相手が何歳だろうが、強姦もわいせつ行為も犯罪」である。つまり、すでに法は存在している。法と処罰の存在=抑止が実施中でもある。
  2. 表現規制
  3. 単純所持禁止
    • いっけん正しいように聞こえる。しかし、これも根拠がない議論である。
    • 規制推進派が出している明確な数値は「G8の中で単純所持禁止が明記されていないのはロシアと日本だけ」の一点だけ*4。「単純所持禁止が犯罪抑制につながる」という数値は出ていない。
    • 欧米で「単純所持禁止」「実在しない架空映像の禁止」を法制化した国は、その後軒並み「児童への性犯罪率は上昇している」という事実はあるが、「目に見えて減少した」という事実は確認できていない。
  4. 思想・信条の規制
    • 「幼児性愛」「オタク的趣味」というのは、一般の人には理解されにくい(判らない人には理解は極めて困難だろうし、無理に理解する必要もない)。端的に言えば「キモイ」「私は嫌い」というものだ。その信条は大いに理解できる。
    • しかし、だから「法律で禁止」というのは全く話が異なる。「犯罪」と「思想」は分けなくてはいけない。「あなたの意見や思想は理解できないし同調も出来ない。だが、そう思う権利は尊重する」というのは法治国家において大事な姿勢。
    • 規制派や規制団体は明示している。「考えるのも犯罪である」と。「疑わしきは罰せよ」と。「自白は証拠の王様」「判断できないなら捨てればよい」「見た目で判断できる」「警察や検察が誤った判断をするとは思えない」と明言した自民党・葉梨議員*5という方すらいる。
    • 「(女性に対する)性表現&性行為は例外なくすべてレイプである」という思想と信条を「外圧」で味付けしているのが、この法案の後ろ盾。この思想は、海外でも一般的に「どう考えてもおかしい」と言われているのだが、これをマスコミは伝えていない。彼等の思想・信条のみを守り、他人のそれを踏みにじるというのは、ただの「自己満足」でしかないのでは。
    • 規制派は「こう考えなくてはいけない」という思想・信条の押しつけも行おうとしている。それに従わない人は「犯罪予備軍である」と言わんばかりに。この傾向は極めて危険である。
    • 昔は「論理ではなく、感情で人を裁いてきた」。しかし、それは多くの誤解と偏見の元、無実の人々の血が流すこととなった。そのような原始的な段階を脱するために「法治国家」が築かれ、「感情ではなく論理で」という世界が作られた。第三者における客観的証拠が重要になったのもこのため。しかし、ことこの議論だけはこの流れに逆行する。
    • 中世・魔女狩りと同じ理屈。秦の始皇帝焚書坑儒と同じ流れ。「エログロナンセンス規制→信条統制→治安維持法」につながった戦前日本と同じ動き。
    • カルト宗教団体・政治参入を行う宗教団体・反日的政治団体や思想団体は国内にも多い。が、「危険だから」「気持ち悪いから」だけで、彼等を規制するのは自由主義国家のやり方ではない。犯罪実行あるいは客観的に見ても犯罪発生が確実なときに初めて検討すべきものである(例:オウム系団体)。
  5. その他
    • 今回のこの規制は、天下の悪法「人権擁護法案*6と密接にリンクしていることに注意。現在、人権擁護法案の議論は下火ではあるが「消えてはいない」。
    • すでに議論は「ロリ」「ショタ」なんて範疇を軽く飛び越えていることに注意。本当に、気軽に、誰もが、犯罪者に「することができる」法案が進展している。ロリ・ショタ・二次元趣味・少年少女好き(芸能・芸術含む)とは全く縁のない人も、同じ確率で犯罪者になりうる法案になりつつある。
    • 規制強化の無限ループ開始。「規制強化」→「犯罪発生」→「もっと強めないと!」→(最初に戻る)。これはギャグでもネタでもなく、実際に世界で発生している流れである。しかし、それで目に見えて犯罪が低下した傾向はなく、警察国家化が推進されているに過ぎない。
    • やっぱり、ソフ倫18禁ゲーム規制に対する判断こそが引き金になってしまったと思う。今でも、あの拙速な判断は最悪だったと強く思う。

…どこが簡潔だって?自分。
あと参考までにこんなまとめ動画も。出展は一年前だけど、状況はここより悪化していることを念頭に置きつつ。

*1:管理人=政府・政治家は、内容は一切気にせず「あるからOK」程度の認識。ついでに「俺はトラップに引っかからないぜ。なにせ管理人だから」という任司でもある。

*2:ちなみに、児童の枠組みを18歳に引き上げたら、犯罪率が上昇したという数値もある。まあ、それまでOKだった部分に法の網が広がったので当然とも言えるが。

*3:厳密には、「擬似ロリ」(AV女優が18歳以下に見える服を着ているもの)と呼ばれている物に嫌疑がかかり摘発されてはいるが…これは合法なのに逮捕容疑がかかったというとんでもない話だったりする。

*4:なぜG8だけに絞っているのか(先進国は他にもある)等穴だらけの話だが。

*5:後日、自分のHPで「ネット上の意見は誤解」とする意見を出したが、それこそ欺瞞。そもそも、あとで言い訳をしなくてはいけない論を展開している段階でアウトだということに気がついていない。冤罪が確定してしまった人に同じ論理で言い訳するのか?

*6:かつて、この法案はその趣旨と反して、「人権被害」と称した「人権ゴロ」や「思想・政治・宗教団体」にほぼ無制限の権利を与えるものとして、反対運動が行われた。