空の境界 第七章

劇場版 空の境界
creator's office ufotable
ついに最終章。雰囲気としては、第二章の後編だし最終章と言うこともあるんだろうけど、本来原作が持っている雰囲気&文章量をそのまま映像に投影するという形に戻っていた。そのせいか、いくつかバトルシーンはあったものの全体としては淡々とした印象が残る。見た目の感じよりも山谷が少ないな、という。もちろんこれは見た人ごとに違うものであるんだろうけど。でも、個人的にはこの何気ない淡々とした空気は主人公の二人には似合っているような気がしている。
原作を読んだのはずいぶん昔であり、実際原作ではどのような描写が成されていたのかは断片的にしか覚えていないけど、おおむねこんな感じだったか、と判断できると思う。少なくとも、忘却録音の内容に「原作と違う!!」と思った人にとっては良い方向だったのではないかと(苦笑)。
第一章を見たのが2007年年末。あれから1年と半。ufotableはよくここまで走りきったと思う。もともと画面演出については個人的評価は非常に高いアニメスタジオなので、それをどう生かすのか、そして当たりはずれが大きすぎる脚本がどうなるのかが心配だったのだろうけど、各章ごとに「実寸モデル」を作成してカメラワークや芝居を考え抜くほどの力の入れかたは、しっかりと画面にその成果が出てきていた。最終章の「壁写真」のシーンも、劇中で見たときも「CG頑張ったなあ〜」と思ったもんだけど、帰宅してからパンフを読んで驚いたのなんの。いや、もう、やりすぎ。おまえら最高。しかも、パンフに撮影監督のインタビューを入れてもらっていたのは個人的には一番嬉しかった。この映像演出を作り上げた人の言葉を聞きたかったから。
この七連作は、確かに今後アニメ史に残るだけの成果は成し遂げたと思う。それだけの品質・内容・評価は十分に与えられるべき。*1関係者一同には色々苦労はあったと思うけど、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございます。
…さてufotableの次回作はなんだろうな。

*1:この成功を見て、複数のアニメ作品で同様の展開をやろうとしているけど、本作品並みの成功を期待すると大コケすると思う。というか、これだけの手間をきっちりかけられる気概を持ったところがどれくらいあるのか。