事業仕分け〜GXロケットの凍結とロケット開発そのものへの廃止論

GX自体については、たぶん駄目だろうと思っていた。もともと現場の反対(M-V増強案で良いじゃないか!)を押し切って、政治判断で開発を開始したものの、まともな成果が上がらないまま当初予算を軽くぶっちぎっていたのだから。だからこのこと自体はあまり言うことはないのだけど・・・まさか、「エンジン研究中止」「ロケット廃止」まで言い出すとは思わなかった。一度途切れた技術はあっというまに枯れてしまうか、海外に流出するだけだというのに。戦後、数多の技術者達が必死になって技術を磨き上げてきた理由が、彼等にはまったく理解できないらしい。
さらに、従来の衛星等の予算に関しても一割減らしい。たかが一割と言うなかれ。他国の宇宙開発費用と比較すると絶望的なまでに安い金額でどうにか成果を上げてきたという環境の中、さらにさっ引かれるというのだ。正直、この結果は「はやぶさ2」の今後に対しても極めて重いダメージになってしまった。せめて、最終決定までには覆ってほしい物だが。
それにしても、先日のスパコン裁定もそうだったのだけど、資源も何もない国がここまでのし上がれた最大の理由である「技術立国」という看板をこうもあっさりと下ろしたがるその真意が図りかねる。基礎技術を育てるのも時間がかかるが、この手の「大量生産できない技術」はその維持と継続も大変なのだ(これは日本の軍事産業も同様)。メーカーを食べさせるためだけに金をばらまいている…という批判は一面においては正解であり、それを真っ向から否定するつもりはない。しかし、別の面から言えば「必要な技術と能力を維持させるために必要な金」であると言い換えることも出来る。それを維持する気はさらさらないと、今回鳩山政権は宣言したと言うことでもある。いったい、どういう基準なんだか…と思ったら。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009111702000088.html
仕分け人の半数が見直しを要求したのに、民主党菊田真紀子議員が鶴の一声で満額を通している。しかもその理由が「子どもたちに直接、夢と希望を与える事業は大切にすべきだ」とは…。しかもこの事業は『ただ同事業は概算要求段階で金額を明示しない「事項要求」で、要求額も分からない』(日経ネット)事業らしい。なんじゃそりゃ。最先端技術の発展は、子供達の夢になり得ないということですか、へー。
そんなことを考えていたら、こんなニュースが。
IntelとNEC、将来に向けたスパコン技術の共同開発で合意 | マイナビニュース
…ほーら、さっそく流出が始まった(苦笑)。まあ国内のスパコン開発は不況の影響でメーカーが撤収したという要因もあるんだけど、仕分け結果が出た数日後にこういう発表が出ることこそがもはやギャグ。一体何を考えているんだか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091117-00000117-jij-pol
そしてついに舞台裏判明。あれほど嫌っていた官僚を使って、財務官僚主導の台本がほとんどの仕分け人に「台詞」「大作書」付で配布されていたという茶番。これも「国民の意思」ってやつ?それとも「個人的な想い」ってこと?
ついでに言えば、今民主党がじゃぶじゃぶお金をかけて実行しようとしている各種事業についても「仕分け」しないのかね?ズルすぎる。