東京都青少年健全育成条例改正案の詳細

どうも全文を含めてあちこちに情報が出てきたみたい。
番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載: 無名の一知財政策ウォッチャーの独言
いよいよ都条例の全貌が明らかに!! - 日々のものごと日記(政治問題中心)
王様を欲しがったカエル |同人誌の苦情って、一体誰が都議員に持ち込んでるの? それから、その同人誌って実はBLじゃないの?
今回の都条例改正案は、正直かなりシビア…というより常識を越えている。都の権限でネット・表現・親権・情報などをがんじがらめに縛り付けるという内容のようだ。実際にどんなものかはリンク先の皆様から収集していただきたいが、これこそ「自分には関係ない」と思っていたら、気がついたらあれもこれも規制の網がかかっていたという内容だ。憲法が意図的に無視されている…ないしは、コレを踏み台にして憲法改正論議に持って行こうということかも…と、これは考え過ぎか。
違う視点で言えば、カマヤンさんの2/26〜2/28のエントリも見ておくべし。こちらは一歩引いたところから俯瞰で状況を分析している。今回の条例案については反対だが、(気に入る気に入らないは別としても)ちゃんと状況は理解しておくように、という一種警告めいた内容だ。
同人誌苦情受付窓口の必要性、「都条例」について - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記
こちらのエントリでは「同人業界」という言葉がテーマの一つとして出ているのだけれども、具体的にはどこを指しているのかが非常に曖昧だ。同人誌というのは個人の趣味で出しているものであって、明確な中心というのは存在しない(もちろん事実上の営利目的でやっているサークルも極々一部にはあるだろうけど)。集団規模で言えばコミケやコミック1、コミティアなどの大規模同人即売会、金銭面で言えば「とらのあな」「メロンブックス」などの同人誌流通業界だろうけど…彼等はこのような表現規制がらみで積極的に動きを見せる気配が昔から無い*1コミケは少しは意見を言っているけど、三人体制になってからは基本的に「長いものには巻かれろ」という方向性であって闘う気はほとんど見られない。まあ、これは大手出版会社も同様だけど。よくあるのが、「今動くのは得策じゃない」という意見だけど、その積み重ねの結果がこれなのだから目も当てられない。おそらく、そういう動き方は昭和の動き方であり、ロビイストが議会を跳梁跋扈している現代の状態にはまるで合致していない。さらに言えば、年末に提出された業界団体の意見書やパブコメの結果は完全に無視されており*2、もう民主主義のカケラもなくなっている。
ただ、個人の趣味だった「同人」というものが、マスコミの餌食になり一大産業のように言われるようになってしまった、というのは原因の一つであるのは否定できない。その規模に応じた世間へのアピールは必要だったのかもしれないけど、もともとマイナスイメージでスタートし、いわば「一枚岩」ではなく「ただの群体」にすぎない同人業界に、全体を通じての共通意志というのはおそらくないのだろう。だから、同人イベントの主催者にも当事者意識がかなり薄く(=場を提供しているだけ)、この手の問題にも首を突っ込んでこないのかもしれない。
ともあれ、流石にこの動きには怒りしかわいてこない。カマヤンさんのエントリによればコンテンツ文化研究会 / Institute of Contents Culture: 緊急集会!どうなる都条例!? -『東京都青少年健全育成条例』改正問題と『児童ポルノ禁止法の慎重な改正論議を求める院内集会』について-というものが3/7(日)にあるらしいし、都合がつけば行ってみようかな。

*1:あえていえばMIAUくらいだけど、ここは表現というよりネット上の著作権がらみがメインだしなあ。

*2:これは表現規制ではない、反対派は誤解している、と言っていたけど、これが表現規制じゃなくてなんだというのだろうか。まあ、法案起草者の頭の中では「自分にとって問題があると思うものは表現の価値がない」として切り捨てているなら、ある意味正解だろうけど。