青少年健全育成条例のタイムリミット

http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031601001005.html
民主党が継続審議を検討しはじめた、というニュースが流れているようで。
でも、「検討しはじめた」だけであって「結論が出た」ワケではないので、ぬか喜びしない方が良い。警戒しすぎ、という声もあると思うけど、「表現規制」に関しては国・マスコミ・規制派・反対派の間で長年の間凄まじい駆け引きが行われているので、結論が出るまでは絶対に油断をしないこと、というのが鉄則。何より、今回は規制派側の動きがあまりにも怪しいし、規制派側の論調に従ったニュースが多いと言うこともあるので、警戒しすぎて損することはない。
この件について、以前から動いていらっしゃる方のブログでの報告では、

(2010/03/17 07:08)
速報!
 都議会議員の某氏より早朝から電話有!
 現在、民主党内はは否決、継続審議、可決の三つ巴の状況。
 みんなの電話、メール、手紙が情勢を決める。頑張ろう!
ある、古参のエロゲプログラマー(エログラマー)の戯れ言

とあるし。
今回の件で表現規制の動きについて初めて知った方も多いと思うけど、この手の「サブカルチャーと規制派」の戦いは延々と続く持久戦。仮に今回廃案に追い込めたとしても、正直終わりはない。疲れたり飽きたりしてしまうことがあるかもしれないけど、その時が規制派にとってチャンスでもある。なんせ「児童/青少年を守れ」「エロは下劣である」と言えば、たいていの人は「そうだよね」と首を簡単に縦に振ることができるのだから。おまけに、そのたびにマンガ・アニメ好きの間で「○○は規制しろ。××は規制反対」「○○より、××を規制しろよ」という自称良識派・評論家オタク達による内ゲバ論争が行われて、勝手に自滅するという現象が当たり前のように起きる。だが、規制派にとっては”どれも同じ”という事実を心に刻んだ方が良い*1
どんな話でもそうだけど、条件反射的に「一般論では○○だから、禁止しても良い」が多数派として認識できるものほど、危険なものはない(統計の悪用とも言う)。
これまでこの手の規制が出るたびに回避できたのは、何も「こんなの通るはずがない」と国会や議会で議員が了承した…わけではまったくなく、その度に手弁当でロビー活動や議員への陳情で今回のような動きをしていただいた方々がいらっしゃったという事実は忘れないで欲しい。彼等が、「これだけ色々あったのに、当事者やマンガ・アニメ好きの人は一切関心がないっぽい。なんか馬鹿らしくなった」と思って活動をやめたら、いつだって可決していたし、今後もあっさり可決するだろう。そういう極めて危うい戦いが本当に長い間続いている。
この手の議論が出なくなる為には、いわゆるオタク層にとっても「政治は無視できるものじゃない」という認識になってもらって、国民的な多数意見として「児童ポルノは確かに駄目。でも創作物まで網を広げるのは根本的に間違っている」と言う認識が一般論になる時だと思う。

  • 「不健全図書指定」の恣意性について

こちらのブログにて、今回の話でなく従来の「不健全図書指定」の基準についても疑問を呈されている。要するに「基準なんてあってないようなもの」という例を色々紹介されているので、興味のある方はご一読を。なお、当初のエントリでは「成人指定している本は対象外」とされているけど、後日指摘があったようで、「成人指定されていても、指定されるものがある」と訂正されている。まあ、現行法ですらどれだけいい加減な基準or恣意的な基準で運用されているのか、という好例。そしてそれがさらに拡大されるのが、今回の都条例。

*1:十把一絡げに規制を叫ぶ皆さんに『全ての判断をゆだねてよい』と言っていることと同義。マンガ好きの人を委員会に入れる?魔女裁判の体裁を避けるために「一人くらい」そう言う人を入れることはあっても、慎重派が委員の多数を占めるなんて事は有り得ない。