劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-

劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
それなりに期待してたとはいえ、十分すぎるほど面白かった。そして見終わった後も気持ちが良かった。こういう視聴後の感想が出る作品は久しぶりかもしれない。
パンフを見るまでもなく、水島監督がガンダムでやりたかったとは「コミュニケーション」であることは良くわかる。あらゆることがそこに集約されている。考えてみれば、富野監督の宇宙世紀では、互いにコミュニケーションをとることはあれども、そこから相互理解に発展して丸く収まるケースはほとんどない(というかターンAだけか、成功したのは。)。結局互いが互いを認められず殺し合い、片方が生き残る…そんな展開の繰り返しだった。
1stガンダムから連なる富野ガンダム世界に対して、ガンダムXでは「ニュータイプ」という言葉そのものを幻想と言い切った。Gガンダムでは「宇宙世紀」という世界そのものを断ち切った。そして水島監督は「宇宙世紀人類が持つ絶望的なまでのディスコミュニケーション」を否定した。そういう意味では、このまったくガンダムらしくない作品は、やっぱりガンダムだったんだと私は思う。または「言葉が通じないまったく異なる生命体とのコミュニケーション」というテーマから見たとき、神林長平の一連の作品群を思い出したのは自分だけだろうか。
テレビの主要級キャラや名脇役は短いながらもしっかりとそれぞれの生き様に応じた活躍を見せてくれた。ガンダム史上もっともヘタレで貧乏だった姫もずいぶん立派に成長した。そして何より、近年ではめったに見られない大規模メカ戦や大艦隊戦を画面狭しと見せてくれた大盤振る舞いは最高のサービスだった。そして(いくつかもやもやはあるものの)きっちりと世界を閉じてくれた。マリナ貧乏姫は最後までヒロインだったし。
…そらまあ、あの戦いの結末はどうなったのよとか、金属生命体とのコミュニケーションはどうなったのよとか、その後の生存キャラはどうなったんだよとか色々聞きたいことはあるけどね…ノベライズとかが出たら、そのあたり描写してくれるのかな。
ともあれ、とてもよい作品だった。これなら、BDかDVDでたら買うよ。