日本ユニセフの動員と都条例の「賛同用のテンプレ要望書の配布」

今ネット上で報告されている規制関連のホットトピックの二つ。

  1. 日本ユニセフが全国規模で、電気労組や学校団体の組織を通じて署名を集めたり、ワーナーマイカル系映画館でプロパガンダを流している
  2. 都が12月の都条例可決を目指し、青少年系団体に対して「一部を書き替えれば流用可能なテンプレート署名」を配布して、募集を集めている

双方に共通していることは「これまで何が問題視されて議論されているのか」ということを一切提示していないという点。つまり「子供を守るのは大事じゃないか」という短絡的な思索以外を許していない。さらにその状況において「児童保護」という錦の御旗を利用して「署名を拒否しにくい環境での署名」を事実上強要することで、反対派の声を覆い隠していることである。ことの本質を提示しないまま、プロパガンダと美名に踊らされる市民の署名を『意図的に』集めているようにしか思えず、これは、過去に議論されてきた多くの時間をまったくの無駄に扱っていることと同義。
かつて都条例においても、表現規制以外に多くの問題が討議されていた。

  • 本当にこの条例で児童保護ができるのか。むしろ警察官僚らの天下りの温床ではないか。
  • 過去のデータ(犯罪発生率と様々な規制による犯罪抑制の関係)は、表現や閲覧の自由を制限しても犯罪は減っていない数値が出ていることに反論がない。
  • 決定過程が非公開である上、あからさま反対派議員への情報公開妨害と見られる行為が多い。
  • 委員会のメンバーが極めてバランスを欠いている上、議事録によって参加者の差別的意識が極めて強いことも判明している。
  • 討議過程が極めて非民主的手段によって成されていた。
  • 法曹界弁護士会からも、極めて恣意的運用が容易である法案の文面に非難が集中したが、都側はそれを認めなかった。

しかし、現在の署名収集活動の状況を見る限り、都や規制推進側はこれらの問題点についてまったく解答するつもりがないことが明白だ。おそらく文面の修正も微々たる物で、「署名で極めて多くの賛意が集まった」という後ろ盾を元にして、強行採決に動くつもりなのだろう。奇しくも、継続審議になったはずの築地移転問題を強制的にGOをかけてしまったことのように。
反対派としては、反対派の都議や都の提案窓口に意見を伝えるしかないのだが、こういう手段が大手を振って通用してしまうこの状況こそに大いなる危惧を覚える。それこそ、「エログロナンセンス」から始まった治安維持法が戦争への援護射撃になったのと同様に。