英国メイドの世界

ヴィクトリア朝とメイドさん研究[SPQR]
『英国メイドの世界』発売ご報告 - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

英国メイドの世界

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「買うなら通販じゃなくて本屋で買いたいなあ・・・でもマイナーだろうしなあ」と心配だったけど、結論から言えば東京神奈川の大型書店やとらのあな等のそっち系書店にはしっかり入荷されていて、当事者でも何でもないのになにかホッとした。そして書店で手に取ったときの感想…「軽っ!!」。いや、本当に軽い。これが商業ベースに乗ったときの最大の成果とも言えるかもしれない。家に帰って同人版と並べてみて、再度その軽さを実感した。なにしろ、同人版は本の重さがネックで「気楽に読む」という部分ではけっこうハードルが高かったところがある。この商業版を手に取って、その理由が想像以上に正鵠を得ていたということを改めて実感した。
帯はなんと鶴田謙二さん。遅筆漫画家で有名だけど、大ファンなのでまさに「なんという俺得」状態。まあ、せっかくのメイド研究本なので、森薫さんの帯があったら最高だったんだけど…まあそれは流石に贅沢だよな。
まだ全体を斜めに眺めた程度だけど、同人版よりかなり内容を整理されたなあという印象。一冊としての完結性を大事にしたのかもしれない。誌面の大半が職種事の使用人の紹介と職制・内容・エピソードで固められているので、もう少し社会背景とかと絡めて説明して欲しかったという気もするけど、でもまあそれでも入り口はともあれ「メイド」「執事」に興味を持った人が「本物ってどうなんだろう」と思ったときに手に取るには十分すぎる内容と思う。
同人版を読んでいたときも思ったけど「今も昔も、働いている人は色々思い、考え、一生懸命生きていた」と強く思う。それこそ、古代ギリシャやエジプトの文書に「今時の若者は目上を大事にしない」と愚痴られていたのと同様、社会で生きている人間の悩みなんて数百年〜数千年程度ではあんまり変わらないんだなと微笑ましく思う。そして同時に、だからこそ当時の人の悩みや生き方は、現代の我々にも十分すぎる指標になりうるのだとも感じる。