おかえり、はやぶさ

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はやぶさ映画三部作のトリ。すでに二作公開されていてどういう立ち位置で差別化してくるのかがポイントだった。結果、二作よりもぐっとフィクション寄りに舵を切ってさらにファミリー向けにしているという点で見事に差別化されていた。ただその影響か「はやぶさ」への焦点はかなり薄くなっている。松竹系はもともと家族ドラマの作りがうまいそうだが、だから「はやぶさをネタにした家族ドラマ」にしようというアイデアは初期からあったのだろう。問題は「はやぶさ」でなくてもこのドラマは成立するんだろうな、というところ。…そうさなあ、春アニメ映画(プリキュアとか特撮とか)を見た後に、続きで家族で見ると良いかも。逆に、はやぶさ運用当時からリアルタイムで追いかけてきた人にとっては、見ていて何か居心地の悪い感じがしてきてしまう。冒頭の子供達がガンガン出てくる所なんて特に。
ノンフィクション的な観点で言えば、前二作とは違って「のぞみ」や「イカロス」をかなり意識して出していること。はやぶさに関わる研究者にも「理学」と「工学」がいて、その違いをはっきり見せてくれたのも、他の二作には無いところ。実際に工学の人は「イトカワのかけらのために十数年も研究して待っているのが理学。そのために絶対に失敗したくない」という思いがあったと言うし。こういう内容が出せたのは最後発ならではの強みと言える。まあ「のぞみ」については「失敗から学ぶこと」をもっと前に出して欲しかったけどさ。ミネルバのことも言わなかったし(まあこれは全部だけど)。三部作のラストを飾る作品としてみると、ちょいと寂しかったかなあ。
ともあれ、「はやぶさ」をネタにした世間への啓蒙活動はひとまずこれで終わることになる。良くも悪くも「忘れることが得意な民族」である日本人。実際に、ここから日本の科学技術振興を進めるのは、現場と理解のある人々の声だけだ。どんな形でもいいので、俺も頑張る。