ラストエグザイル -銀翼のファム-

ラストエグザイル―銀翼のファム― 公式ホームページ
今期終了第2弾。"ファム物語"としての筋は通っているが…。
前作LASTEXILEは大ファンだったから、およそ9年ぶりの続編ということでとても楽しみだった。最終回まで見ての感想は、ボタンを掛け違えたのかなあ…というもの。物語冒頭から良く言われていたが、結局「ファムがグランレース厨すぎる」点が良くも悪くも最後まで足を引っ張ってしまった。あくまで一空族の個人的な希望を軸に話を引っ張ってしまったおかげで、その後の国家間対立や戦争との軽重ギャップがあまりにも大きすぎた。前作のアル達も最初は似たような立場だったが、そこには国家を支える軍人と我が儘を諫める大人達がいてくれたおかげでグッとしまったのだが、ファムの周りにはそのような人は誰もいなかった。
最終回のファムの台詞を聞く限り、ファムのグランレースへの思いは本物であり、ただそれを支えとしてずっと歩いてきた…ということは良く分かった。だから「ファム物語」としてはこれで正しい。それは違いない。しかし、ラストエグザイルという物語視点で見ると、やはりこれはあまりに小さすぎた。話の軸とするなら「居残り組vs帰還組の思想・政治対立」をより表に出すべきだった。そうすれば、前作組(=アナトレー・デュシス連合帝国)の登場も第二期からの視聴組も「政治」の一端としてもっと普通に見ることが出来たはずだ。だが、それを一少女の視点で描かれてしまうとどうあがいても唐突感が否めない。いくらトゥランのミリア姫の側にいたとしても、ファム自体政治にほとんど興味がないから、どうしたって視聴者にとっても視野狭窄が発生してしまい、政治部分がまるで見えなくなる。結果、ファムを軸に見ると「戦争やって感情対立出てるのに何を暢気に」となるし、国家を軸に見ると「ファムの場違い感が半端ない」となる。この差は結局埋まらないまま、どこか尻切れ感があふれるエンディングとなってしまった。
総じて見ると、これは第一期ファンが第一期組の出演を心待ちにするためのアニメーションでしかなかった気がする。そう言う意味では「俺得」ではあったのだが。ラス前のソフィアさん&ウィナ登場には本当に燃えたし、ラストにクラウス/ラヴィ/アルの三人の絵が見れたのは「これが見たかったんだよな」という気分もひとしおだった。おそらくアニメとしてこのシリーズの続きまたは外伝がでるのは不可能だろうけど、漫画や小説で「国家視点」での補完物語を作って欲しい。