氷風のクルッカ―雪の妖精と白い死神

氷風のクルッカ―雪の妖精と白い死神

氷風のクルッカ―雪の妖精と白い死神

フィンランド大使のtwitterを眺めていたら柳内たくみの新作についてツイートがあった。何で…と思ったら「冬戦争」ネタだったからとのことで、ではと買ってみた。そういやシモ・ヘイヘ(いやさ、シモ・ハユハか)は色々有名でネタになっているけど、それ自身を元ネタにした小説って少ないなあ…と思いながら読んでみる。
国家名は架空にしているけど、その描写や戦況はまさに冬戦争そのもの。シモ・ヘイヘの戦歴と負傷もちゃんと描かれているし、「モロッコの恐怖」もしっかりいる。「練習だ」とか「モロッコの恐怖の弟」とかの定番話題も入っているし、作中の戦場となった土地名はほぼ同じ。何より膝を打ったのが、主人公ヒロイン「クルッカ・サムライネン」の扱い。彼女は、あきらかに冬戦争もう一人の超狙撃手「スロ・コルッカ」として描かれている(名前が似ているのも偶然ではないだろう)。そしてスロ・コルッカについて知っているならば、最後のオチを見てニヤニヤできると思う。分らない方は、最後まで読んだ後にwikipediaで調べてみよう。
物語そのものとしてはよくある戦記物ラノベの一つだから、冬戦争に興味はなくても楽しめると思う(色気はないけど)。さほど話も重くはないのであっさり風味…そこを良しとするか悪しきとするかは個人の評価が分かれるところとは思う。