大日本サムライガール(1)

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

先日の「君が衛生兵で歩兵が俺で」とほぼ連続して敢行された「右翼系ライトノベル」。連続なのは偶然だろうか。本の内容を読むより、こういう右寄りの本がラノベとして普通に書店に並ぶ日が来るとは思わなかった。エロや性描写を徹底的に間接消滅させられているから、そのガス抜き的にこっち系を出版社が解禁したのだろうか。少なくとも、10年前ならこういう傾向の本は、本屋に並ぶどころか出版そのものを会社側が拒否していただろうに…。まあ色々出てくるのは良いことだけど。
さて内容は「純真誠実大和撫子」が「政治世界への立身出世の手段としてアイドルになる」…というどっかで聞いたことのあるコンセプト。ただ、ここに「極右」という御旗を建てるだけでこういう書き方になるのか、という実験とも言える。同時に、所謂大和撫子、日本人的心の強さってのはつまるところこう言うところなのかもしれないな、とも感じたり。「滅私奉公」という言葉もあるが、まさに体制・集団・国家のためなら、自分をなくし全身を持って尽くす、というその姿勢そのものなのだろう。ゆえに日鞠の活動は滑稽に見えて、どこか懐かしい憧憬すら思い出させる。どうやら作者自身、いつかはこういう作品を書くために経歴を積み重ねてきたようなので、これは案外期待できる作品になるかもしれない。
期待と言えば、出版社(星海社)の本気も洒落になってない(苦笑)。こことかこことか。サイト単体でも凄いけど、ちゃんと本の内容とリンクしているのも凄い。でも、角川みたいにアニメ化まで視野に入れたマルチメディア展開はないだろーなー。やったとしてもネット通販オンリーか単行本に付いてくるOVA程度だろうなあ。