ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

エヴァンゲリオン 公式サイト
できるだけ情報をシャットアウトしたまま見たい…とはいえ、ネットからはどうにも不穏な空気が漂っていると感じていたため、「旧版のようにいきなり鬱展開に変わったのか?」となんとなく想像しつつ座席ついた。
ずいぶん活劇方向に変わったなあと。序盤に出てくる曲の多くはエヴァではなくナディアのアレンジが多かったり、メカ造形が「フリクリ」「トップ2」「グレンラガン」を彷彿とさせたこともあり、その後の展開を見て「これは過去のガイナアニメ作品を色々繋げるつもりなのかな」とか思ってたりした。その後の展開も…なかなかに楽しめた。というか、個人的には三作続いて過去のエヴァ作品のアレンジってのはちょっと疲れるので、この(ある意味における)壊れっぷりは十分許容範囲。まあ、あえて言えば「劇場ではなく週アニメの方がよかったかな」と言うこと程度。それだけ、作中に従来のような衒学的重さがなかったと言うことなのだろうけども。
まあ流石に前作と今作の時間的差分箇所は、もうちっと説明は欲しかった。シンジと同じ視点に視聴者を持ってこさせたかったのだろうけど、SF的要素が極端に多くなっていたし、突如現れた空中戦艦含めて、今ひとつ世界がよく見えなかった。無印トップのように一億年以上すぎるともはやどーでもいい規模だけど、14年というのはある程度人生を歩んできた人間にとってはかなりリアルな数字。でもその14年間でどんなことがあったのかはさっぱり見えなかった。実際、「世界が再構築されて、平行世界に飛ばされた?」とまで思ってたもの。
ただ、ネットで感じていた不穏な空気についても理解は出来る。エヴァにどっぷりとはまっている人は、その衒学的雰囲気やら謎・ネタを散々色々語り尽くすことが好きだろうから、そう言う人の立場から言えば「こんな中身が空っぽの活劇なんて求めていない!」と言うことなのだろう。実際、その点だけで言えばあまりにも駆け足だし、説明も簡素すぎる。現時点の世界設定の話も、極めてでっかい枠組のみ提示して、それ以外は実質的に説明放棄。そりゃまあ、そっち系期待してた人は怒るよねえ、と。でも、それが今の庵野の考え方なんだろうな。新劇場版になって「ずいぶん明るくなった」「結婚のせい?」と言われていたけど、それを論拠にすれば今回の方向は正常とも言える。過去の内容の多くをひっくり返す構造にして全部変えてしまうってのも、過去になんとなく臭わされてきたところ。まあ…それが「エヴァの映画として期待していた人」のなにがしかを無視することになったことは、あちこちの声を聞く限り間違いなさそうだけど。
とりあえず純粋に活劇として楽しかった。アスカ&真希波のでこぼこコンビはどうこう言って旨く回っていたし、まさかの鈴原妹とか、レイはやっぱレイかとか。良く動いたしね。食べやすい内容ではあったので、もう一度は見るつもり。…まあ、上映中に何人も席を立ったり、携帯着信音が鳴り響いたり、普通にしゃべる親子がいたりと散々だったせいもあるけど。