劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない

劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。| アニメ公式サイト
劇場版スタッフはよく自重できたと思う。
見る前に決めていたことがある。TV版のラストの上に、さらに「泣かせるシーンを追加」してきたら駄作としてみるしかない、と。なんせ感動を売りにした作品だから、何も考えずにさらなる感動(それこそ「めんま復活の奇跡」とか)を上塗りすることが、一番容易な方法だからだ。しかし、これは見事に裏切られた。
確かにうるっとくるシーンはあったが、それは余計なものの追加…ではなかった。スタッフもTV版のラストが最高潮であることを理解していたわけで、そこからどう劇場版として発展させていくのかをしっかり地に足をつけて悩んだのが率直に見て取れた。だから、この映画の出来は「派手ではないスタンド・バイ・ミー」という感じだと思う。
見終わった後、改めて俯瞰的に映画を見ると実は大したことはやっていないことに気がつく。それこそtwitterの1コメントで片付けられる程度だ。ただ、その過程を一人ひとりにスポットを当てて「テレビの後日談を丁寧に描く」ことで視聴者の期待も裏切られることはない。多分、これに続く物語はオフィシャルになることはないだろうし、それは正しいと思う。なぜならそれはキャラクター自身の人生であって、たとえ作品のファンであろうともそのプライベートを覗き見する必要はない。もちろん、ファンジン・同人的に物語を自由に想像する分には全然オッケーだけど。