秘密保護法、可決

法というのは、文章が全てだ。成立させた政治家が美辞麗句を並べ連ねても全く意味が無い。その法を扱うその時の政治家が文面を「上手いこと(または都合よく)利用」するだけだ。だからこそ、議論が必要なのだ。

ということは、人権擁護法案/青少年健全育成法/児童ポルノ法の騒ぎで学ぶ中で骨身に染みた理屈だ。そして、相変わらずマスコミはこれを理解できていない。
当初この法案は賛成派だった。「スパイ天国」なんて蔑称で呼ばれて実際そのとおりだったし、ここ10年で世界情勢はどんどんきな臭くなっている現在、そろそろ日本も平和ボケと「お友達外交」から卒業して、少しは国防に力を入れるべきと思っていたので。ただ、少なくともこの法案は「スパイ活動を防止、摘発する法案」ではなく、「身内の裏切り行為を許さない法案」だったため、そこで半分失望した。しかも国会や内閣の説明は「国会期間中に法案を通すことを最大前提とした」ものばかりで、反対派や不安に思う人々に何一つ納得させられる(あるいは反論ができなくなる)理由を提示することが出来ず、あげく可決した後に「理解していただけると信じている。これから説明していきたい」等のいつものパターンに収まってしまった。説明して理解できるなら、法案可決する前にやってみせろよ、と。そしてマスコミが大騒ぎしても結局この程度か、という少し覚めた目線で見ていた。
今回も反対論の中には「表現の自由」「人権侵害」がお題目に上がっていた。「人権擁護法」や「児童ポルノ法」等の表現規制に反対の立場の自分としてはそれだけでも反対できる理由では遭ったのだが、結果的に同じ理由・結果なのにマスコミの説明が正反対になっていることに、正直呆れてしまっていた。
人権擁護法案」「児童ポルノ法案」「青少年健全育成法」における「表現規制への危惧」「本来守られるべきモノへの影響が少なく、弊害が大きすぎる」に対して、マスコミは「考え過ぎだ。政治家も警察も馬鹿じゃない。法案が曖昧という声もあるがそんなことはない。ちゃんと考えてしかるべき対応をするに決っている」という論戦でずっと法案への賛意を示していた。だが「秘密保護法」でも内情はほぼ同じなのに、皆まったく同じ理由で反対をしていた。さすがに、コレばかりは呆れてしまった。
今の情勢を考えれば国防に力を入れるのは当然の選択肢ではある*1。それも「マトモに国防を考えていなかった日本という国」であればなおさらだ。ただ、あまりに考えてこなかったが故に、国防に関する議論の仕方も忘れてしまったようだ。国連機関からも懸念が出される法案というのは、先進国として恥だろう。
さて、日本はどこに行くのだろうか。

*1:「右傾化を憂う」方々もいるようだが、そもそも戦後70年が「極端な左傾化だった」だけであり、あまりに抑えすぎたせいで一気に反動が来ているだけにすぎない