キルラキル

TVアニメ『キルラキル KILL la KILL』オフィシャルサイト
前クール終了分。昭和熱血復権の最後発版だったのかな。
本作を貫いた作品デザインは、昭和第1〜2世代アニメファンにはとても懐かしく、平成アニメファンには一周回って斬新に見えていたのは間違いない。事実、これまであのような画像が出れば確実に平成世代から揶揄されていた「作画崩壊」のコメントをただの一度も見る事がなかった。中島かずきの描く脚本は緩急に飛んだ燃え要素であったが、なにより彼独特の外連の効いた節回しが存分に発揮されていたし、それを支えるトリガー作画陣の気合いも画面からあふれまくっていた。これだけ全裸が画面を飛び回ったのにファンからその点をエロ要素として全く無視されていた事も、本作の特異なところと思う。だからこそ、2クールの間誰も飽きる事なく楽しむ事ができたのだろう。
最終回、「落下する流子に向かってなりふり構わず、全裸と鬼の形相で、両手を前に突き出して全力ダッシュする皐月様」は、エロさはみじんもなかった代わりに、最近のアニメ作品ではほとんど見る事がなかった「映像だけでどれだけ必死なのかが一発で分かる」という素晴らしいカットだったし、それこそがキルラキルの作風だったろうと思う。
そして放送が終わって約2ヶ月。面白い事にキルラキルが話題に上る事はきわめて少なくなった。後発で動くであろう同人界隈でもキルラキルがテーマの作品はエロ・非エロ問わず表に出ているものは数えるほどしかない。これを昨今の飽きっぽい新生代オタクの特徴…と言い習わすのは簡単だけど、個人的にはこの現象そのものも本作だからこそという気がしている。つまり、視聴者層は作品単体だけで脳内補完する必要もないくらいに満足してしまっているのだ。さらにいえば、録画どころか録音だってなかなかできなかった昭和アニメの一種刹那的な消費のされ方ともよく似ているように感じている。その辺りも含めて、昭和テレビ漫画の流れを現代風に復活させた作品だった、といえるのかもしれない。