児童ポルノ法改正案、成立確実?

二次元大勝利じゃないよ!!果ても見えない広大な戦域で繰り広げられてきた数多の敗戦の中で、僅かに掴んだ一つの局地戦の勝利でしかないよ!」
表現規制との戦いという観点で言えば、先達の皆さんが積み上げてきた物の成果がほんの僅かとはいえ達成できた。と同時に、規制派はさらに攻撃の手を弛めずに次の策を打ってくる予兆でもある。彼らはすでに「青少年環境保護関連法案の改正案」や「社会的嫌悪の増加による国民運動化」とかで動いている。まあ正直「児童保護のためじゃなかったの?」と言いたくなるんだけど。
今回の成果は事実上一つ。改正案の最後に「附帯条項」として付いていた「次回改正までに漫画やアニメの影響を調べて再検討する」が消えたこと。調べるだけなのに騒いだの?と思う人も多いだろうけど、こういう付帯条項は「調べたけど影響なかった」なんて結論はまずならない。つまり「次回改正での適用予告」同然であり、規制がほぼ確定的になる。もともと児ポ法は「性虐待されている児童を守るため」の法なので、存在しない架空存在を対象にすること自体がナンセンス。しかしあえて文面で「創作物への規制」をはっきり明記してしまうことで、本来の法律意図とは異なっていることも無視して継続しようとしたのがこの附帯条項。んで、それを消したのが今回の動き。
ちなみに消した理由は「アニメ漫画は無関係だから」ではない。この議論のために一向に改正が進まないので、「ならいっそ外してしまえ。今回は単純所持の一点突破でいい。アニメ漫画規制は別でやる」という政治的判断にすぎない。
では、達成してほしかったけどダメだったものは何か。これがたくさんある。

  • 単純所持規制の回避...本来、アニメ・マンガ規制と並列で危機感を持って監視するべきものだったけど、あまりにアニメ・マンガの方に声が集まってしまい、結果的にその犠牲になる形に(個人的には附帯削除の取引条件だったように思う)。単純所持が先行している海外では、冤罪がかなり発生している事実(家族写真とか)があるが殆どの議員はその事実を無視しているか知らない。無罪評決がでても社会的に殺されていることが大半。一応、規定文を厳しくして入るけど、警察のおもちゃが一つ増えたことになる。
  • 三号ポルノ表記...この表現があまりに曖昧なので元凶の一つと言える。単純所持規制の冤罪増加の懸念対応で少し表記を詳しくしたけど、消すつもりはないらしい。
  • 児童ポルノ」という言葉の変更...これが最大の元凶。言葉の定義が曖昧だからこそ、本来救うべき「性被害を受けている児童を救うため」以外の目的で規制派のおもちゃにされてしまうし、世間の誤解も増大する。だから法案の意図を明確化するために「児童性虐待記録物」等にすべきなのに、なぜかしない。議員の間でも「言葉が悪い」という声が増えているらしいのに。

まあ、表現規制との戦いはずっと昔から続いている。延々と負け続きだったのが都条例あたりからわずかとはいえ勝ちを拾えるようになってきた。でも、この戦いはまだまだ十年単位で続くはず。議員を見てお分かりのとおり、政党問わずに「マンガ・アニメは規制すべし!」と息巻いている方のほうが多いのだ。アニメ漫画で育った若手議員は比較的同情的かつ協力的でもあるけど、まだまだ彼らには権力という”力”が足りない。だから、油断できることは何一つとしてないのだ。