コミックマーケット86 三日目

男性向け表現は、本当に軽いものかラブいものばかりになってきたなあと感じるほど、ハードな表現が本当に少なくなった。その手のサークルさんと少し話をしてもやっぱりそういう傾向らしく、ため息というか「これも時代かねえ」みたいな感じでお話しされるところが多かった。まあどんなものにも波があるので、引き波の周期に入ってきたということなのだろうか。もとよりハード表現になる鬼畜陵辱系やゴア・拷問系は当然として、触手系ですらハードなものよりラブっぽいものが増えてしまったのは個人的にはかなり残念だったりする。まあそれを抜きにしても、三日目午後のピコ手巡りはいつも楽しみなんだが、今回はビビッと来るサークルさんがなかったのが非常に残念だった。
コミケの楽しさはそういうのを含めた硬軟織り交ぜて様々なものがずらりと並んでいることだ。だからこそ自分はコミケという場で「恐ろしいまでの表現と価値観があること」を肌で学び、それが今の自分が持っている「とある表現があり、自分はそれが好きではなくても、その表現は絶対に否定してはならず、尊重するべきである」という考え方の根本になった。そういう考えからすると、現在の「どこも同じような無難な表現ばかり」という状態は、本来「極力枠組みを少なくしたはずのコミケ」において危機的な状況の始まりではないかとすら、勝手に想像してしまう。マイノリティーですら、しっかりと表現の場を与えられ、同時に認められる場こそがコミケという場所だからだ。
だからそれら多様な表現の一部を頭ごなしに否定するのならば、その人は「表現規制が行われても、自分自身に災禍が及ばない限りそれを支持し、自身に影響が回ったら、周囲に「なぜ守ってくれないのだ」と当たり散らすか、とっととそこから逃げだすだけ」の人だろうと思う。