楽園追放

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』

以前からの予告編で期待してたんだけど、いろいろあって見ることができなかった。今日ようやく劇場に足を運んだけど、上映四週目なのにこの混雑具合は一体何よ…。会社の後輩も絶賛してたけど、それだけの出来ってことなのかなと思いつつじっくりと見た。そして帰宅して速攻でBD予約した。
うん、これはとても面白い。あと数回劇場のスクリーンで見たい(というか、明日にでもまた行きたいと思っている自分)。まだSFが楽しく元気であった時代の物語を堪能させてもらった気分だ。SF的なギミックといい、メカロボの見せ方や見せ場といい、女性キャラとおっさんの組み合わせといい、自分の好みに素晴らしくマッチしていた。最終決戦も「時間制限付き防衛戦」というよくあるシチュエーションながら、映像が素晴らしく興奮した。本当にいいものを見た。ただ終演後の周りのコメントを聞いていると、想像以上にSF用語やSF的ギミックが「一回見ただけではわからない」という声が多くて驚いた。私にとってはこれだけ分かりやすいSFギミックは親切だなあ、と思っていたくらいなので、むしろ周囲のこの反応は驚いたし、想像以上に「SF的な文法やギミックが知られていない」が残念だった。もっともこれはSFファンが周囲のライトファンを含めて排除し続けた結果と言えるのだから自業自得とも言えるけど。
そして最後の最後のアレ。どれだけの観客が気がついたか知らないけど、「安全万能と信じて、管理されることに気がつかず、あるいはその状態を是して疑わない人々」「新しい可能性が提示されても、現状の満足ゆえにただの一人もその提案に乗ろうとしなかったこと」というテーマ。これは、保守的かつ全体管理主義に飼いならされたディストピア的エンディングを示しているけど、これは同時に現代日本人に対する痛烈な皮肉にもなっているようにしか思えなかった。果たして、今のネット社会にすっかり慣れ親しんでしまった保守的なアニメファンは、あの新天地に向かう船に乗り込もうとする人がいるのだろうか。