夜ノヤッターマン

夜ノヤッターマン
今季終了第四弾。悔しい。
価値観とスタンスの逆転をうまく利用し、そこに過去のタツノコテイストをそれなりに放り込んだ結果なかなかよい作品に仕上がったと思う。それだけに、最終回の時間切れ作画&演出はとにかく悔しい。老舗タツノコにして、最大の盛り上がりとなるこのシーンに戦力を投入できなかったことは、おそらくスタッフが一番通関していると思う。BDでは全部差し替えて作りなおすらしいけど、現時点でBDはBOXのみというから購入者特典に近い。個人的には、ニコニコ動画等で「改修版」の一挙放送をして、世の中に「こういう映像を作りたかったんだ」という意図をもう一度示して欲しい。
勿論すべてを手放しで褒めるつもりはない。物語の中で数回「昔のタツノコテイスト」を混ぜ込んだ回があった。制作者側の気持ちはわかるのだが、今この「夜ノヤッターマン」を見ている視聴者はタイトルと第一話のつかみから、よりシリアスな方向の物語を求めているのは確実だった。そこを絞りきれずに「昔のタツノコファン向けに」or「昔を知らない今のアニメファン向けに」かつてのタツノコギャグを入れたのだろう。しかしこれは一部の過去作を知っているファン、ないしは客観的に作品を見ることができる古参アニオタ以外は、作品の評価を落とす結果になってしまった。個人的には「気持ちはわかるけど、入れないほうが良かったかな」と思っている。ただ、過去のタツノコ作品のキャラ(っぽいもの)をゲスト参戦させているのは心憎い。知らない人にとってもノイズ程度で済む見せ方だったから、誰も損はしないからだ。
最終回については前述のとおり「残念、くやしい」という気持ちが強い。映像を見ればわかるが、スタッフ側がちゃんと魅せる映像をつくろうとしたところが見えるからだ。しかし制作が致命的に遅れて尺が間に合わないことが確定的になり、仕方なくそれまでに出来上がった映像をつぎはぎにしたのだろう。それ自体は褒めるところではない。ただあちこちのコメントを見ていると「ただの使い回し」という言葉が目につくのが気になった。単にアニメを見ている人ならそう思うのは当然だろうけど、わざわざコメントを残すほどならばそれなりのアニメファンかアニメオタクなのだろう。そのような人がコレを見て「ただの使い回し」という言葉が出てくる事自体、アニメオタクのレベルが下がったと思ってしまう一瞬だった。ましてやOPへのつなぎのところも「使い回し」というに至っては…。まあ、しっかり映像ができていれば「こうつなげたか〜」という爽快感を持って見ることができたはずなので、良い作品にかぎらず最後にこういう形になってしまったのは本当に悔しいと言わざるをえない。