凪のあすから

凪のあすから
過去作消化。言われるほど悪くなかった。
大好きなP.A.Works作品だったけど録画しっぱなしで1話以外は未見だった(ブログ確認したら、2013/11かよ…)。アニメファン界隈では「グラスリップ」と並べてP.A.Worksの凡作という悪評が立っていたので実際どんなんだろうかと思いつつ見ていたけど、別にそんな悪い作品でもなかった。その中であえて強く問題点を出せば、「海村」とそこに住む住人達のファンタジー…というよりも「日本昔ばなし的にわざとゆるく作った設定」の部分を第一話でしっかり視聴者に説得できなかったことだろうと思う。人型海棲生物*1が地上人とほぼ変わらぬ生活形態で交流を続ける設定を、ほぼ「エナ」だけに抱えさせるのはさすがにつらいわけで。結局、そこに基づく違和感…例えば「水中で味噌汁!?」とか「水中で電化製品!?」とかが、本来単なる日常風景のはずが作品を見るノイズになってしまって、落ち着かなくなってしまった。殆ど現在と変わらないのに根本的に違う設定にして、だけど意味なく納得させられるパターンがやれていればそこまで思わなかったろう。それこそ「ガールズ&パンツァー」の「戦車道という狂った設定をあっさり受け入れさせた「超巨大空母町」の設定を映像で見せた」くらいの強さが必要なところだったろう。
しかしそこを忘れてしまえば(それが一番難しかったのだろうけど)、小中高の多感な感性と田舎村という設定を利用した「妙にスレていない」状況のおかげで、素直なティーン達の恋愛物として楽しむことができた。設定的に一番大きな冬眠の話が出た時点で「ああ、これは残留組と冬眠組にわかれるんだな」と容易に予想がつく物語だったため、子どもたちのじゃれあうような恋愛模様にまっすぐ焦点を当てることができたのも良かった。相変わらず背景美術は狂ったように美しかったし。
正直言えば、グラスリップよりはずいぶん楽しかったように思う。あっちはポストtrue tearsをやろうとして盛大にスカった感じだった。

*1:本作の場合は、昔話的設定で「地上に上がった人類が、何らかの理由で海に戻って適応した」ということなのだろうけども。