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屍者の帝国

ある日会社にて後輩が「屍者の帝国見ましたよ」と声をかけてきた。
「・・・?屍者の・・・ああ、ノイタミナの。でもあれ今期のテレビではまだやってない・・・」「確かにノイタミナだけど映画ですよ?」「うそっ!?」「公開期間、もう少しで終わりますよ?」「まじか!?」
ということで、すぐに映画を・・・というわけではなく、やはり原作がある以上先にそっちを読むべきだろうと本を掘り出して読み始める。で、そこでこれが伊藤の遺作であって、その後を円城塔が継いだ作品であることを改めて理解。あとがきを見る限り、円城自身が「伊藤氏のあとを書き継ぐことはできないので、結局自分の文になる(意訳)」と分かった上で引き受けた仕事のようだ。
読み始めて5分の3は「普通の冒険活劇」のように読めた。厳密に言えば、各所に色々小ネタを仕込んでいたり「色々調査したんだなあ」と思わせるシチュエーション等が色々あってちょっとSFチックではあったけど、どれも小道具の中に納まっていた。それがアメリカ中盤当たりからいかにも「言語認識SF」的な展開を見せる。そして最後の最後はロバートFヤングちっくな終わり方に・・・メランコリックやなあ。
作中に多く登場した様々なネタ。あまりに情報量が多いことと自分自身の知識が足りなかったせいで、半分もねたを消化できていないのが個人的には残念。「時代とワトソン博士」は初級のネタ。クトゥルフ系(あるいはその体系に組み込まれた昔からの魔道書)、いくつかの登場人物とその行動の元ネタ(エジソンが晩年オカルトに没頭したというのはどこかで聞いたことがある)程度はなんとか気が付いたけど、それ以上はもう・・・。「カラマーゾフの兄弟」は後で気が付いたけど本を読んだことないしなあ。他にもあるんだろうなあ。
とはいえ、結局これは実質円城さんの作品になっているのは間違いない。プロローグ以外は全部書いているのだし、どうも伊藤さんから生前にプロットを聞いているわけでもなさそうだし。そういう意味では、伊藤さんの作品とは言いにくいかもしれない。