君の名は。

映画『君の名は。』公式サイト
公開初週で20億突破しているし、公開館数は300前後だし、なんかすごいことになっている本作。「ほしのこえ」DVDを新海監督支援のつもりで買ったことが嘘みたいだ。*1好きな監督ということもあり、「親子かカップルしかおらんぞ」という恐ろしい情報に警戒しつつ劇場へ。少なくともその情報は…まあ正しかった。アニメ好きの友達&先輩後輩コンビもそれなりに見受けたけども。
作品の出来としてはいつもの新海監督。その点では十分に安心(?)して観ていられた。まあそれ以前に予告編映像を見てた時に「こんな感じのプロットかな」と想像していた内容が、偶然にもほぼその通りだったため、話のギミック自体には驚きはなかったという理由もあったけど(新海監督作品が好きな人なら「ああ、こういう話本当に好きだね、監督」と思っているだろう)。
なので、いわゆる新海監督節…特に「悲哀」「すれ違い」「もやもやのまま」が多いエンディング…がどう炸裂してくるのかを期待?しながら見続けた。結果として言えば「あ、あれ?監督どうしたの?」と心配になるくらい(多くの視聴者は嬉しかったろうけど)普通のエンディング。いや別に悪い話ではないんだけど、これは絶対にいつものパターン!…という心構えがあっさりスルーされてちょいと肩透かしと言いますか。ええ、もちろんいい話なわけで、そこを非難する気は毛頭ない。やっぱり「おお、良かったなあ…」とほっとした自分もいたわけで。あと、紐と縁の話が出た時に「SFチックにひも理論まで行くか?」と思ったけど、さすがにこの舞台設定では無理があったか。
背景美術は相変わらず非常に美しい。相変わらずのフルCGなのか、実は手書きがどこかに入っているのかまでは全く特定できないけど。ただそれが良かったせいか、パッと見て「ん?」と思う絵があったのも事実(完全に重箱の端ツツキだけど)。特にニュースシーンの映像にあった「彗星の軌道の絵」が、おかしい…というか「太陽があるのに、そんなルート通らないでしょ?」というところ。時間をテーマにSF(少し不思議)を書いているんだから、これくらいは製作スタッフの一人くらいは誰か気が付いてくれると思うんだけど…わざとだとしても、べつに太陽周回コースを通っても物語はまったく破たんしないわけで*2
うーむ。まあテーマはそんなところにないから無視をしたともいえるけど、魂を細部に宿す新海監督作品としてみると、どこか片手落ちの印象もある。やっぱりここは外部スタッフが描いていて、監督はチェックしきれなかったとみるのが正解なのかな。

*1:ガルパンは公開約9か月で23億。まあこちらは「深夜アニメ劇場版」「公開館数77スタート」「一般人向けじゃない」という点で比較対象にはなりにくいけど。

*2:記憶が確かならば、一番最初の東京のニュースの映像では、正しい画像になっていたように記憶している。