クロムクロ

TVアニメ「クロムクロ」公式サイト
今季終了第5弾。P.Aらしいロボ物だったと思う。
一言でいえば、「地に足の着いたスーパーロボットもの」とでもいえばいいのか。日常を過ごすキャラたちの細かい描写を得意としてきたP.A.Worksがロボ物を作るとどうなるのか、の良い答えだったと思う。なんせ展開はひたすら地味だし、ロボは一発逆転の必殺技なんてまったくもっていない。主戦力ではあるけど、それは「二足歩行型戦車」から大きく外れるものでもなく、足元では警備兵や歩兵が小型機動兵器で普通に戦う当たり前の戦場。でも、そんな当たり前のような描写ができるアニメ作品は昨今あまりなく、それをP.Aがやったことに意味があると思う。
それにクロムクロやGAUSの動作も好き。最初に動くシーンを見た時に「コックピットの位置ができるだけ上下運動しないようにしている」ことに地味に感動したし(苦笑)。いわゆる”馬”が空中走行するほどの技術力があっても、コックピット部分の上下運動は重力制御で云々…で逃げなかったメカニックコンセプトに拍手。そしてそれに応じた戦闘の見せ方があったからこそ、最終決戦時の歩兵たちの動き方にも説得力が生まれた。某ガンダムみたいに「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」というシーンがなかったからこそ、だ。
人物の心理描写は、メカ戦があったためか他作品よりも深堀はできなかったとはいえ、普段の作品が深堀し過ぎていたきらいすらあるので、案外と良いバランスだったと思う。だってねえ、普通のアニメ作品なら絶対に最後は「色々あったけど、二人で手を取って戦争に向かう」でしょ。それをああもあっさりなかったことにするのは、なかなかにないと思う。そして、それをやっても自然に納得してしまうP.A.Worksという会社作品の説得力(苦笑)。その後の話も入り口だけにとどめてそれ以降を描かなかったのも正しいと思う。第二期ではなく、ここで幕というのも良い選択かと。…いやまあ、わずか5年で恒星間航行宇宙船を実用レベルで組み上げて出発するのも笑えるけど、なんかそのあとは「トップをねらえ」のルクシヲンみたいに途中で攻められて轟沈…なんて未来すら見えてしまうし(おい)。
まあそんなわけで、外れ続きの今期においては(2クール作品だったけど)非常に気に入った作品だった。