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この世界の片隅に

konosekai.jp
評判になっていたので見てきた。うん、これは一度見た方がいい。
のん(能年玲奈)が主人公の声を当てていると知ったときは「なんだ、結局知名度だけの素人を釣りにしただけか」と斜に構えていたんだが、実際作品を見てみると信じられないほどに主人公のすずさんにマッチしていたことに本当に驚いた。これが訓練の賜物なのか、あるいは素なのかは知る由もないけど、少なくとも本作では正しいといえる。
作品としての最大の驚きは「戦中を描く方法論にはまだこういうものがあったのか」だった。戦争をやっていても、本土にしてみれば遠い話。日常生活で徐々に困窮してくる物資によってそれを感じるけども、生死に直接かかわるものでもない。時折飛び込んでくる空襲警報ですら日常化してしまっている。すずさんにとって、戦争を肌身で感じたのはあの「空襲の後」で失われたことがほとんどではないだろうか。原爆投下ですら、直接当事者でなければああいう形になる。これは「はだしのゲン」が原爆被災後に比較的無事だった江波に移り住んだということにもかぶってくる。そういうものを感じられるだけの幅が本作にはある。当時を知るお年寄りからの評価すらとても高いというのがその証拠だろう。日常を描くことの大事さでもある。
にしても、これで「この世界の片隅に」→「はだしのゲン」→「仁義なき戦い」という広島風近現代史ができてしまったのはどういう因果だかw