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ガールズ&パンツァー劇場版Variante(1)

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

表紙でずいぶん損をしている。内容はしっかり作者の個性がいい感じに暴れていて楽しい紙面なのに。
連載は読んでいないこともあって正直本屋で手に取るのは結構躊躇した。「ついにブームだけに便乗した駄作が来たか」と思ったのも事実だ。だけど内容はそうではなかった。もともと人気作のコミカライズは作家にとっては非常に苦労が伴う。基本的な物語は代えられないし、最高ともいえるお手本すら皆がよく理解しているから、どうあがいても比較されてしまうからだ。そうなると手段は二つしかない。一つは懇切丁寧に原作「だけ」をなぞること。もう一つは「作家個人の思想を反映させる」こと。二つのいい所取りは結果的に中途半端な結果しか出てこず、作品としては批判しか生まれてこないだろう。で、本作の作者たる伊能高史さんは後者を選んだ。おそらく、アンツィオ戦等で独自の世界観を漫画化した才谷屋龍一さんの評価も決断する一因になったのだろう。まあそれでも怖かったのか、編集者が「Variante=異本」というタイトルを付けた、というのは考えすぎか。
この個性は良い方向に転がったと思う。現在は1巻だけであるが、親善試合のあの一連の流れをオムニバス形式で時系列と人物を切り替えて様々な視点で見せていくのは良い判断。コマ割りの見せ方や、各々のキャラクターの見せ方はすごい気に入っている。ダー様のチャーチル登坂能力を演出したあのシーンは、その名刺代わりではないかとすら思う。戦車は極力CGで描いているが、この作者はCG戦車をどうやって紙面に落とし込めばいいのか、というところはクリアしている感じだ。というか戦車をちゃんと描けることが最大のハードルになる事が、ガルパン漫画の特徴であり弱点でもあるのだろう(弐尉マルコのギャグ4コマくらいまで割り切らないと…)。今後も楽しみにしたい。
勿論おそらく「映画と違う。ダメ」という層も当然いるだろうし、それは仕方がない。でもそれならばわざわざ漫画にする必要なんかまったくないと思う。違うメディア、違う作者でやるならば、違うものを見たいのが当然だ。もちろん、適当にひろってきた作家が適当にやるだけなら論外だけども、これについてはそうではないと感じている。
しかしね、数コマだけ紛れている「等身大キャラ描写」がすごいくうまいんだけどこの方。もしかしてこっちが本領なのか?つーか、そういうモードで描いたガルパン、すげえ見たいんですけど。それこそ、アニメキャラと小林源文キャラの間を歩くようなので良いじゃないか。