四月は君の嘘

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過去作視聴(2014)。原作者の鉄の意志に感嘆を。
もとよりヒロインの死亡で物語が終わることは耳にしていた。そのうえで、4話でかをりとの演奏を見た後に思った。「この後、公正とかをりを二度と演奏させなければ、作者はよほどの覚悟をもって物語を作ったんだろうな」と。そして事実上、見事にそれが成し遂げられた。原作を読んでいないので、最後のあのシーンが原作通りなのかアニメ制作側のせめてもの思いだったのかはわからないけど…でも、ヒロインの死を悲劇的に描くことなく、音楽という庭の物語として幕を閉じたのは英断だと思う。
そのほかのキャラたちのその後がどうなったのかを知りたいというのは、これだけの良作であれば見たいという気持ちが非常に強い。しかしこの作品はあくまで公正とかをりの物語でしかない。ヒロインの死によって(それもヒロイン自身の自覚的な死)それが閉じられてしまった以上、少なくとも「四月は君の嘘」という物語はそこまでなのだろう。そして残念なことにそれはとても正しい。(のちにOADが発売されたらしいが、調べるとあくまでキャラたちの子供時代の話だったそうだから、やはり未来を描くのは憚られてたといえるのだろう)
アニメーションの面から言えば、演奏時の動きが非常に素晴らしかった。ピアノは学んだことはないが多少ヴァイオリンを学んだ身からすると、かをりの演奏中の、そして「間奏中にヴァイオリンを弾いていないときの奏者の所作」の原画マンの観察力に脱帽した。そう、「演奏をしていないときの奏者の動き、特に紙をロングにしている女性の演奏時の所作」が、私が演奏会で見たことのあるそれとまるでそっくりだったからだ。あの瞬間を見れただけでも、この作品を見た価値、そして称賛する価値があると個人的に思うほどだ。すでに四年も前の作品だったとはいえ、短期間で一気見できたことは幸いだったように思う。そしてかをりの魂に幸あれ。