ガールズ&パンツァー

ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)|公式サイト
今期終了(してないけど)第一弾。おなかいっぱい。
10話は監督自身「調整し切れていない酷い物」という感じのコメントをしていたのでずいぶん心配していたのだが、蓋を開けたら「これで酷いというのなら、お話にもならないアニメはずいぶん多いぞ」という品質だった。勿論、止め絵の多さやキャラデザや輪郭のズレ、明らかにテンポがオカシイ所など、いわゆる「調整し切れていない箇所」は確かに目に付いたのだけど、長いことアニメを見ている立場とすれば「まあいいんじゃない」と許されるレベル。そりゃ勿論、これまでのガルパン品質と比較したら明らかにしたではあったけど。10.5話は…まあ仕方ないかと。それに前回の5.5話も含めて、キャラやメカが多いからこういうタイミングで入れることは案外有効だったりするわけで、怪我の功名かなと思う。
さて。戦車好きなミリオタか、「MC★あくしず」を読むようなミリタリーと萌えが好きな人しか見ないニッチアニメになるかと思いきや、おそらくこの2012秋アニメで一番評判になったアニメになるとは予想だにしなかった。かつてWTMを企画した海洋堂の某専務が「戦車が好きな男の子はいっぱいいるんです!」と断言して食玩戦車を大ヒットさせたこともあったけど、今回は「戦車に興味が無くて監督と脚本家で見始めたけど、なんか戦車もいいじゃん」とユーザーに思わせたことが凄いかと。それになにより…戦車の映像が素晴らしすぎる。3DCGの発展によって実現できた絵とはいっても、細かい転輪の動き、履帯の弛緩と緊張時の見せ方、砲撃時の車体の挙動…いやもう、戦車好きにはたまらん映像ばかりで、年甲斐もなく「うおーすげー」とテレビにかじりついてた自分もいたりして。完全にマニアだけの物になっていたスケールモデルの戦車プラモがアホみたいに売れまくるという怪現象(笑)も重なり、まさにお祭り状態。自分も数十年ぶりに買ってしまったし。*1
もちろん脚本の丁寧さが合ってのことと思う。どうしても説明的な台詞が多くなりがちな本作において、適切かつ簡潔な「一言」で世界観や設定を説明してしまう技は見事の一言。特に第4話の「ウチの店があ!…これで新築できる!」の台詞。これは殊勲賞もの。しかも、ちゃんとその一言で理解できる視聴者がいたことの幸せ*2もあった。
そしてどこかのロボアニメのように地元押しを前面には持ってこなかったことが逆にファンの琴線に触れ、地元の全面協力もあって、結果として聖地巡礼として成功を収めつつある大洗。実際、あんこう祭にも行ったけど良い場所だと思った。一年前に震災で津波被害、さらに近くに原発がある事による風評被害も重なってずいぶん大変だったと聞いていたから、これは地元にとっても予想外のおみやげだったように思う。
さて、残り2話は2013年3月頃を予定とのこと。スケジュール管理の破綻については同情の余地はないが、これまでの品質で作り続けてくれたのだから安心して待っていられる。願わくば、その先にも展開があることを強く期待したい。

*1:いや〜、最近の戦車プラモの設計精度すげーな…

*2:社会人以上であれば「ああ、保険があるんだな」と分る。学生以下だとピンと来ない人の方が多いだろう。