絶園のテンペスト

過去作消化(2012年)。通しで見るとバランス感がなかなか良かった。
1クール目後半が録画ミスで吹っ飛んでいたためニコ動で有料アーカイブを確認しながら視聴。正直、愛花の自殺の可能性は想定していたが、絶園の魔法使いであそこまで吹っ切れて事に及ぶことまではまるで想像していなかった。シェイクスピア2作品をやたら引用していた理由も最終話でキャラが語ってくれて解釈の補完にもなった。前半は復讐劇、後半はラブコメ混じりの真実編と個別のバランスは少し疑問ではあったけど、いざ最終回まで見てみるとそれだからこそここまで落ち着いて見続けられたのだと感じる。また、「死して登場人物を翻弄し続けた」愛花というキャラ設定がなかなかに素晴らしいかった。彼女は舞台俳優でありつつも自身の脚本家でもあった訳だ。「死んだ孔明〜」てほどではないにせよ。
極端な賞賛はしないけど、十分良い作品だ。普通の役に立たない器量無しの娘になってしまった葉風と吉野の関係や、世界を動かすと決めた真広の今後も知りたいところだけど、一幕はここで閉じるのが正しいのだろうな。

GODZILLA/ゴジラ(ハリウッド2014版)

http://www.godzilla-movie.jp/
いわゆる「マグロ食ったゴジラ(のようなもの)」と比較すれば圧倒的にゴジラだった。
前評判で初代や日本のゴジラをずいぶん尊重していると聴いていたとおり、政治性/時代性の見せ方やゴジラそのものへの演出がなかなかに心憎かった。ゴジラを一種の自然災害ととらえて、「自然パニックムービー」的に登場人物を見せている点を見ても、ちゃんと考え方を踏襲した上で制作しているんだなと感じる。挙動もスーツアクターを意識したものになっているように感じたし(100%CGだと思うから、わざわざスーツアクター方式のゴジラの動きを研究したんだろうなあ)。日本人として言えば、渡辺謙が「ガッズイラ」ではなく日本語発音で「ごじら」と言ってくれた事にしびれる、というよりもうれしかった。
その上で最初に見せた「ねえねえゴジラと思った?残念〜」という引っかけはあざとい演出とはいえ、エンターテイメントとしてその後の期待感を否が応でも盛り上げてくれた。バトルシーンはどうだったのかと言えば、いわゆる「怪獣大進撃系」を期待しているとかなり物足りなさを感じるけど、初代ゴジラを下敷きにしていると考えれば妥当な線。あえて言えば、ゴジラの熱線砲はもうちっと派手でも良かったかなあと思う程度で特に大きな不満はない。すでにアメリカ報道では第二作についてGOがかかったというけど、この出来なら東宝もOK出すわな。あえて不満を言えば、ゴジラの顔がゴリラっぽかったところだろうか。もし制作スタジオが最近の「猿の惑星」のCGを手がけているところならば、モーションを流用したのかな、と思うくらいにゴリラだった。そこはもうちょっとは虫類で怪獣でもよかったんじゃないかと。あとはハワイの津波?のシーンかなあ。どうしても東日本大震災を思い出してしまう(まあ、これは地域特性だから文句を言っても仕方ないのだけど)。おそらくゴジラ=自然災害に近いもの、という意識付けの一つとして見せたのかもしれない。別にこの点は批判する気もないし。
しかしまあこのゴジラ「さん」、小物は喧嘩相手にしない大物狙いの気の良い親分肌のやくざっぽい感じがする(苦笑)。「なんや、小さいの(=人間)がうろちょろしとるのはちょいと邪魔やけど、こっちにさほど関わらんなら別にどーでもええわ。あの大物だけが狙いや。まあよけいなものはぶっ壊すし、ちょっかい出してくるなら容赦はせんけどな」というふうに。