改正児童ポルノ禁止法案の再提出と成立の可能性

児童ポルノ禁止法、水面下の動きが加速 - 保坂展人のどこどこ日記
議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではない - 保坂展人のどこどこ日記
先日、自民党が再提出の動きを見せてきたなんて話があったんだけど、あっという間にここまで進展しているなんてだまし討ちも良いところだろ。しかも反対派の双璧の一人保坂さんは議員落選、残る一人の枝野議員は事業仕分けに付きっきりだから、おそらくタッチできていない。つまり、賛成派がマトモな議論もしないで一気に持ち上げてきてしまった。
以前から話しているが、「実在する児童を守るための法律」なのであれば、まず反対する人はいない。これは児ポ法改正に反対している人もそうだ。だが、今進めている法案は「誰も被害者がいない架空の存在=創作」の世界にまで無遠慮に網をかけ、怪しい物・キモイものはすべて罰せよというイスラム的なところまで言及してしまっている(これは、思想・想像についても権力が規制してきたことでもある)。ちなみに、この手の創作物の存在が「大いに児童犯罪を犯す原因になる」という因果関係は証明されていない非科学的な話だ。緩い関係性ならあるかもしれないが、それが認められるのであれば、もはや何でも犯罪につなげることが出来る。
さらに児童ポルノ関連の規制がはるかに厳しい欧米の方が、圧倒的に児童ポルノ犯罪が横行している理由について、規制派は一言も説明をしたことがない。
さらに単純所持を犯罪として扱い、警察権の無限拡大も容易にする内容が問題になり続けている。これが考え過ぎかと言えばさに非ず。すでに今年になって数件この類の逮捕が発生している*1。こういう「別件逮捕」等の危険性と問われた当時の葉梨議員(自民)はこう答えた。「怪しいと想うなら捨てればいい」と。焚書坑儒を行えと宣言したわけだ。さらに言えば、今の鳩山政権関係者は「平成の文化大革命だ」とまで宣言した議員すらいる。
以前に散々議論をして打ち切りとなった案を改めて提示するのだから、この辺りの議論をもう一度きっちりと行って、それこそきちんと「仕分け」してくれるものと想っていたのだが、そういうことをするつもりは微塵もないらしい。むしろ、自民党が積極的に民主党案にすり寄ることで「とにかく一端成立させてしまえ。あとはどうとでもなる」という作戦をとっているっぽい。
色々情報を見ている限り、「架空の創造物」については法案からはひとまず除外されるらしい…が、付帯決議として「継続調査」という文言が付くという。「付帯決議」には法的拘束力はないが、将来的に”どうにかしてやる”と考えている連中には、まさに錦の御旗となる。そうなれば、次の改訂の時に何が行われるのか、想像に難くない。
あと参考までに。
エクパット東京による院内集会とか - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記
→例年以上に、同人誌即売会に「その手の組織による偵察」が行われるらしいので十分注意しなさい、会場であやしい集団を見たらスタッフに報告を、という展開のようだ。
王様を欲しがったカエル |平智之議員への規制反対派による対応方法(別名・先生に言ってやろう作戦)
→規制派団体のロビー活動の一端。
(追記)
自分がYahooやGoogleニュースで見た記事(読売オンライン)が消えたようだ。魚拓はこちら。ただ、今回は保坂元議員自身がかなり詳細な情報をblog上に展開している。情報ソースが我々と同様のニュース等なら勘違い&想像なのかもしれないが、別ルートから入手していると言うことは、「水面下の動きを読売がキャッチして飛ばしたが、今このニュースを表面化することは(様々な政治的判断で)まずいと判断して削除した」とも考えることが出来る。なので、「飛ばしかよ」と安心するのも早いかもしれない。(2ch民主党電凸した人によると、枝野議員や民主にとっても寝耳に水らしいが…規制反対派へ情報封鎖がされていたらわからないしな)
ちなみに、2009/7/4前後に『児ポ法案、自公と民主で歩み寄り』等の記事が出たことがあったが、このときも読売新聞が『飛ばし』の記事を書いている。…状況が似ているな。それともやはり読売系は強烈な表現規制派であることが明確になったと言うことか。

*1:成人向けアダルトビデオや雑誌で学生のコスプレをしているもの等の発行で逮捕。これは「わいせつ物陳列(下の毛だか具が少しだけ見えてしまっていたらしい)」だったのだが、マスコミは「児童ポルノ」で逮捕という見出しを大々的に使った。