スターシップ・オペレーターズ〈3〉 (電撃文庫)(水野良/電撃文庫)

スターシップ・オペレーターズ〈3〉 (電撃文庫)
う、う〜ん。相変わらずシノンがでしゃばりすぎ。全体として今回は(無理矢理)押さえた雰囲気はあるけど、あまり功を奏していない気がする。戦闘シーンは言わずもがな。
この手の「宇宙空間における艦隊戦」を物理法則とあわせて書く手法だと、個人的には『紅の勇者〜オナー・ハリントン」シリーズ(例:新艦長着任!〈上〉―紅の勇者オナー・ハリントン(1) (ハヤカワ文庫SF))を思い出す。こちらは、帆船時代の海戦小説が多いイギリス作品の宇宙艦隊戦もので、その戦闘シーンの描き方はこのスターシップオペレーターシリーズと似ている。…ただ、その密度や見せ方はまったく比較にならない。女性であり、若くして(と言ってもティーンエイジではないが)困難な戦闘に勝ち続けるオナー・ハリントンは、ある意味シノン的立場に近いともいえる。ただ、あきらかにオナーの作品は戦争を描いている。どんな最新鋭艦もどれほどの功績をあげた兵士であろうとも、次の瞬間全身を血だるまに、あるいはプラズマに焼かれて死んでいたり、瀕死の重傷になったり(それはオナー自身も例外でない)、とにかく戦争の残酷さすらも徹底している。
普通のSF小説と『文系SFチックなライトノベル』を比較するのは、そもそも間違いと言う話もあるだろうけど、スターシップ〜を読んでいると何とも知れぬ苛立ちを覚えるのはたまたまなんだろうか。同じ「自分を救うために犠牲になった僚艦」というシチュエーションがあるにもかかわらず、こうも印象が違うと変な気分になる。