メカビ

メカビ Vol.01

メカビ Vol.01

ひととおり読了。これはあれだ、「オタクが編集したオタク論説評論集」と言うのが正解なんだろう。つまり編集コンセプトにあるとおりオタクを対象としている本には違いないけど、ただ消費と萌えだけに奔走しているゆるいオタクはあまり相手にしておらず(ぜひついてきてほしいと望んでいるだろうけど)、「考えるオタク」向けに特化した本なのだろう。これは我ながら言い過ぎと思うけど、科学研究におけるNature誌やScience誌のような立場というか。
目次構成の最初と最後こそ著名人へのインタビューやオタ向け書評といった誰でも読める軽い内容になっているけど、誌面中ほどに掲載されているのはオタク論・萌え論・構造論・社会論が目白押しで、「美少女or美少年キャラやメカに萌えていればいいや」といった軽いオタにとってはあまりに重い内容になっている(ここを見ただけでめまいや睡魔、生理的拒否に襲われた人も多いと思う)。しかし、そこから一歩踏み出して、オタクである自分を客観視したり、「一般社会とオタクの関係性」「マスコミで報道されるオタク文化と実際のオタク文化とのギャップ」「世界からみた日本オタク文化」「オタク文化=犯罪者の温床論への疑問」等を感じたり考えたりする人にとっては興味深い紙面になっていると思う。少なくとも、私が読んだ限りではメジャーな出版社から相応の規模で出版された(駅の本屋で普通に売られているくらいだ)この手の本の中では、かなりオタク側の意に添った内容と感じる。
マスコミやバラエティー番組のオタクをテーマにした内容を見て「ありえね〜」「実際にこんな奴はごく少数だよ」「また勝手に都合の良いオタク像を作り上げてるよ」「マスコミが勝手に煽って一般人に広まっただけで、本当のオタクはほとんどやってないぞ(『萌え〜』と口にしたり叫んだり等←恥ずかしすぎる)」等と思ったことがある人は、一読してみるのも面白いかと。