1巻の頃は無邪気にロケットを楽しんできた作者だったけど、第3者として長い間ロケットのみならず宇宙の現場に触れ続けてきたためか、第3巻ではそんな脳天気な空気はあまり感じられない。むしろ、否が応でも見えてくる理想と現実・・・いや、その「理想」すらまともに見ている関係者がどれくらいいるのかすら不安になってくるような危うい現実が目の前に転がっていることをまざまざと見せつけられている。それゆえに、この本の帯は「日本の、そして、世界の宇宙開発に未来はあるか」となっているのだろう。内容はとても面白く興味深いことがてんこ盛りなんだけど、時折突然冷水をぶっかけられるような一文が出てきたりするから侮れない。「もはや宇宙はフロンティアではなくただの
公共事業なのか」というのはかなり恐い言葉だと思う。まだまだ宇宙関連のあらゆる物は発展途上であり、人類が容易に手を触れることが出来る場所では断じてない。しかし、「
公共事業」という名目であっという間に社会一般化されることにより、すでに地球上で人類社会システムに安定的に組み込まれている
公共事業と同列で語られてしまう。そして一般化されて慣れきった
公共事業は、もはや目的と手段がごちゃまぜになり、ただの権力&集金マシーンに成り下がる。・・・そうはなって欲しくはないのだけれど。人は夢を見れるからこそ前に進めるのだし。
*1