量産型はダテじゃない!

量産型はダテじゃない! (富士見ファンタジア文庫)

量産型はダテじゃない! (富士見ファンタジア文庫)

タイトル買い。長編小説大賞とのことだけど・・・う〜ん、これを大賞にするんだ。本気なのか、その程度しか作品が集まらなかったのかは分からないけど(編集部としての方針とか色々あるだろうし、この手の審査は想像するほどクリーンじゃない)。確かに面白いしホロリと来るところはあった。・・・あったんだけど、それら全てが「過去の作品から抽出された典型的な方法論(テンプレート)の再利用」以上の何物でもなくて、「この作品だからこその笑い&涙」では決してなかった。もっと言えば、似たような作品を小説・アニメ・漫画で山ほど読んできた人にとってはパブロフの犬のごとき条件反射的感動をまったく越えてない。どこを読んでも、作者自身の個性によるひねりが微塵もなかったんだよな。後書きを見ると「量産型愛」があふれているとあるし、自分もそこを期待して買った一冊なんだけど、結果的に出来た物はそうじゃない(それは作者も理解しているっぽいが)。個人的には、その段階でアウトと思うんだけどなあ。
新人としてみれば最後まで書ききって、かつ編集者に評価してもらったという点はえらいと思うけど・・・作家としての実力ではなく、「どんなものを書けば、簡単に売れて金になるか」を追求したあかほりさとる見たいになるしかないんじゃないかな。(ぶっちゃけ、アニメ化は簡単だろうし、それなりの視聴率は取れると思うよ、この内容なら。ただ、金になっても作家の力にはならないと思う)次回作があったとしても買わないかな。