同人誌即売会規制と表現規制

先だって、都産貿にて即売会の中止勧告が出てからというもの、自粛&強烈な規制&監視の嵐になっているけど、都産貿に変わる受け皿と噂されていた大田区産業プラザPIOでも、事実上の締め出し規制が行われたらしい。対象となったイベント2つは先日のアブノーマルカーニバルほどではないけどコアマニア向けの内容であったことが決め手だったようだ(主催者が説明しに行ったようだけど理解は得られなかったらしい)。同じ18禁表現でも少しずつソフトな方向に影響が出始める第一歩になるかもな(すでに影響は出始めているし)。施設側担当者にとっては、これまで黙認していたところをムリヤリ表に引っ張り出された以上、責任を負いたくないだろうから「イヤだから/キモイから/嫌いだから/面倒だから」という理由で、今後も当分同様の状況は続いていくと思われる。個人的感情としてそう言う感じを抱くのは仕方ないと思うけど、だけの理由で堂々と正義面が出来る状況が異常ということに、ほとんどの人が気がついていないのが恐い。
今回の件について「本来地下でこそこそやっているべきキモイ連中が、表に出てきたことが悪い」という声もあるようだが、そもそもこういうイベントに参加する人々の大半をそのことを知っている。ただ母集団が当初より大きくなってきたこともあり、少し目立ってきた程度・・・だった、普通は。違うのは、周囲で冷ややかに見つめていた人々とマスコミ。昔は「イヤなら見ない、関わらない」が当たり前だったのに、「嫌い/キモイ/理解できない」だけを理由に「表に引きずり出して叩きつぶす」のが主流になってしまっている。しかも引きずり出した方は正義を標榜して、ぱっと主張を聞くと彼らの言葉は気持ちが良いように聞こえる(むしろ反論すると非人間のレッテルすら貼られる)のがさらにやっかい・・・というか、ここまで行けばプロの詐欺師軍団レベルなんだけど。
ところで、今回の騒動に前後する形で「ネットダウンロード規制」「各種表現規制」に関する記事が一斉に動き始めているのが非常に興味深い。しかも、大半が「規制賛成」という事実。・・・そりゃまあ、「ネット上には違法物があふれていて、それをDLしている極悪人がいる」「P2P等のWinny”犯罪”は、作った奴が悪い」「少女への性的犯罪は許せませんよね、ところでこんな物があるんですが、規制すべきと思いますか?」なんて事を聴かれてから「賛成?反対?」と聞かれれば、深くは知らない人がどちらに答えるなんて統計操作術の初歩中の初歩であり、それがあからさまに出ているのが今であると思う。結局、理屈や慎重さなどというものは二の次以下にほおっておかれ、第1印象のみで大勢が決まってしまう今の日本の危うさが出ているんだろう(「沖縄戦の集団自決と軍人関与の疑い」もその典型。学者や裁判では"基本的にはほとんどなかった"という理性的意見が、感情的に関連組織が強制動員をかけて大幅に水増し発表を行った(発表11万人→実際は多くて四万人弱)結果、証明と事実はねじ曲げられてしまった"事件"がその一つ)。お上に判断をしてもらえば、その拡大解釈によって自分自身に影響が無い限りは、「自分の責任じゃないし、自分は無関係。でも望む連中を追放できる」を貫けるから楽なんだよね。都合が悪くなれば、手のひらを返してお上を叩く(明確に手遅れだけど)。最悪ですな。
ダウンロード違法化、著作権非親告罪化についてのまとめ - Seesaa Wiki(ウィキ)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2007102500903
「漫画・イラストも児童ポルノ規制対象に」約9割──内閣府調査 - ITmedia ニュース
こんな時だからこそ、改めてナチス拡大中だったドイツにてマルティン・ニーメラー牧師の言葉を知り、今を見るべきだと思う。