東京都にて表現規制関連の動きがあったらしい

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/02/20k2h102.htm
おそらく、東京都が昨年末にパブコメを募集した案件だと思うけど…。実にコメントの9割が反対意見だったにもかかわらず、「反対意見を送付している人は全員誤解している」「反対している人は精神病であるとしたい」という意図によって結果を捻じ曲げられた末が、結局これですか。彼らのやり口は、「正義のためならば犯罪も正当化される」というグリーンピースのやり口とまったく同じであって、それを行政の立場が率先して行おうとしていることが最悪ともいえる。
この件についてはまだ情報が出始めたばかりということもあって、主たる表現規制反対派のところでは目立った動きはないみたいだけど…。というか、カマヤンさんのところや鳥山さんのところを見ていると、どうも反対派の中で内部分裂っぽい様子がかなり見えてきていて、それこそ規制賛成派が喜ぶだけじゃないかと思ったり。ともあれ、何らかの意見をどこかのタイミングで送らないとなあ。というか、今の都議会だとこっそりと案を通して可決としそうなのが怖い。
ちなみに、「東京都」だけの話と思っている方は大間違い。多くの道府県は『東京がやったのならば』を口実に可決するところは非常に多い。それだけならまだしも、東京都には出版業界&流通業界の大半が集まっているわけで、この影響はいわば「水道の元栓を止められる」と同様の現象が発生する。他県だから大丈夫…なわけはないのだ。そして、それは過去に前例があるので絵空事でもない*1。ついでに言えば、「不健全図書指定」は徹底したゾーンニングを書店に求めるのだが、明確にゾーニングできる書店は極めて限られる。これまでは書店や業界側の自主規制だったのである程度ゆるいものだったのだが、行政がこれを支持するということは事実上大半の書店では販売が出来なくなるという意味を持つ。規制の網をかけられ、流通業界が流れをせき止め、物理的販売部数が激減するものを、出版側もいつまでも抱えているわけもなく。おのずと結果は見えている。もちろん、どれだけ対応しようが「対応不十分!」という看板を数年後に立ち上げて、より徹底的な規制にはいるのも想定済みだろう。*2
結局、どこを見ても「こうすることで劇的に児童への犯罪発生率が激減する」という数値は提示されておらず、実在児童の保護という名目も「看板程度」の扱いとされ、一部の「現実と架空の世界をごっちゃにした」政治家と権利権益団体がうまい汁を吸うという構造は何も変わっていない。
はてさて。

*1:20年ほど前に、やはり成人向け表現について政府の圧力で一部出版社と大手流通が「自主規制」の名目でほんの少しでも疑わしいものをすべて止めたことがある。

*2:ネットに逃れるという話もあるが、中国並みのネット規制表現規制を実施しようと政権与党や規制派ロビイストが派手に動き回っていることに注意。すでに外堀にも手をかけられている。