「マンガ×ミュージアム脱限界論−マンガ表現規制問題をめぐって」(京都国際MM)

Ustream.tv: ユーザー kyotomm: マンガ×ミュージアム脱限界論-マンガ表現規制問題をめぐって-①, 京都精華大学国際マンガ研究センター 学術シンポジウム マンガ×ミュージアム脱限界論-マンガ表現規制問題をめぐって-. その他...
-マンガ表現規制問題をめぐって- 京都精華大学シンポジウム - Togetterまとめ
Ustreamでの実況を見る。東京都での集会は基本的に「せっぱ詰まっている」状態であるため、かなり政治寄りの集会だったけど、こちらはかなりアカデミズム寄りの内容だった。基本的には規制反対派の集会ではあったけど、その立ち位置は様々であって、第2部の登壇者と聴衆の質疑応答は非常に有意義だった(客席にいた山口貴士弁護士や、コンテンツ文化研究会・杉本氏が飛び入りで回答したのは驚いた)。
議論そのものは非常に多岐に至っていたけれど、そこから印象に残った物をピックアップ。

  • 「寛容」と「非寛容」。規制反対は寛容である。が、それ故に規制派との対話をやめてはいけない(例え話が通じず、怒られても)。主義・主張は違っていても対話を続けることも、また「寛容」である。
  • 欧米的文脈&キリスト教的文脈 (ピューリタン的宗教価値観)を日本に持ってこられようとしていることに注視しなくてはいけない。
  • 片や「Cool JAPAN」と言って日本独自のアニメ・漫画を輸出しようとしていて、片や表現規制で日本独自のアニメ・漫画を潰そうとしている。この正反対の動きが、海外からは不思議でたまらない。*1
  • 日本のエロは、ただエロイだけでなく物語性や哲学性等が複雑に入り交じった物。そのため、欧米の編集者に言わせると「日本の漫画の4割はエロ。ただ線引きが難しい」。そのため、ただのポルノと区別をするために「HENTAI」という新しいカテゴリを作った。今や、ポルノとHENTAIは違う物という認識。
  • 欧米でも昔はエロ漫画を見て「びっくり」して「拒否反応」があった。予備知識は背景を知らない人がみれば、その反応は当たり前。しかし今はそのような「漫画への無知」は減っている。従って、「海外では日本=ロリコン大国である」と言っている説明があった場合、具体的に海外の誰がそう言っているのかを確認する必要がある。
  • 現実描写を省略(デフォルメ)したものが漫画絵ではない。その逆で「現実絵に様々な情報を付加したものが、漫画のキャラクター」である。
  • 閲覧者が「漫画の絵を見て、その背景に現実の何かを見ている」と規制派は考えている。しかし、実際は漫画の絵の背景に現実の何かを投影していることはない。それは、漫画が現実のデフォルメではなく「漫画のおばけ」というべき存在だから。仮に漫画絵(キャラクター)の背景に何かが投影されているのであれば、それは「現実ではない何か」である。
  • こういう議論をお役人とやってもおそらく意味がない。「しずかちゃんの裸が〜」と言っている時点で、想像力のレベル(漫画やアニメについての基本的な知識や常識のこと?)や議論の基礎となる情報が違いすぎる。
  • だから、「このような議論や集会があちことで開かれていること」をアピールすることの方が大事。
  • (番外)シモンちゃん茨城県下妻市マスコットキャラ)は性別がないということになっているが、背中の羽はオオムラサキのオスの羽だからシモンちゃんは男の娘だという論議。

*1:海外で「日本のアニメはエログロロリだ」という批判には、「ならばディズニーでも見てろ」という反応があるという。日本のアニメが宮崎駿夫と押井守だけで、あとはディズニーの二番煎じだけになれば、誰も日本アニメなんか見なくなる。