魔法少女まどか★マギカ

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」公式サイト

3月終了(だった)分第二弾。魔法少女はSFだったんだ!そして期待違わぬ虚淵印。
ラスト三話を見て最後のシーンを見終わったあとの気分が完全にSF小説だった(笑)。しかもジェイムズ・ティプトリー・ジュニアたったひとつの冴えたやりかた」やロバートFヤング「ジョナサンと宇宙クジラ」のような、ハードSF好きにとっては”ある種の鬼門である分野”のSF小説。アニメを見始めたときには、まさかこんな気分になるとは想像しなかったなあ。これでまた、少しSFが日の目を見てくれると嬉しいんだけど。…あ、ハードSFファンの方は、どうかいつものような斜に構えた冷水を浴びせる反応を抑えていただき、SFの裾野を広げることにご協力いただけるとなお嬉しいです、はい。
さて、対QB戦略は色々想像はしていたけど、結局の所いわゆる”ゲーム盤自体をひっくり返す”方法かなあとは思っていたので、それをどう見せるのかが楽しみだった。結論・ド直球(笑)…つまり、そこは本作のテーマではなかったということでもある。根っこは「魔法少女のフォーマット」の一つである少女達の友情物語からまったくぶれていなかった。ただ、そこに虚淵氏特有の毒とSF成分がふんだんに盛り込まれただけ(…だけ!?)。でも、それだけでここまでお話が超マクロ的に広がっていったのだから物凄いことだ。見終わった後に改めて考えてみれば、ギャル物・少女物・SF物を知る人ならどのフォーマットも心当たりがある内容だ。ただ、それをこういう形で組み上げようと思い、それをこういう形で結実したものはなかった、そういうことなんだろう。
そしてラストのシーン。あそここそがまさに虚淵氏の真骨頂だと思う。あれは希望の名を冠した強大な呪いでもある。またはその逆か。そう、何がSF的ってエントロピー問題もちゃんと残していること。まどかにより「呪いという老廃物を別次元に放逐する」という裏技が発動してハッピーエンド…ではやっぱり終わらず、しっかり当該次元にもエントロピーの因果は巡っていたわけで。その当たりは本当に「うまいなあ」と思うと同時に「逃げなかったな」と称賛する次第。
いやあ…良い作品だった。仕方ない、BDも買おう。あと「熊本」と「テキーラと謎の白い液体」も(苦笑)。