アフリカの魔女総集編
- 作者: 野上武志,鈴木貴昭,雷門風太in竹工房,兼光ダニエル真
- 出版社/メーカー: 密林社
- 発売日: 2011/06/10
- メディア: コミック
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「セーラー服と重戦車」「萌えよ!戦車学校」で知られ、同時に表現規制問題への関わりや海外進出にも積極的な作家としても有名なミリタリー漫画家野上武志氏。彼のサークルFirstSpearで過去にリリースされ、今は絶版になってしまった「アフリカの魔女」「砂漠の虎(前後編)」を改定して一冊にまとめ、さらに書き下ろしも加えた豪華すぎる同人誌。こちらの関連スタッフにはストライクウィッチーズシリーズの根幹メンバーもいることもあり、事実上の半公式同人誌とも言われているのも人気の要因だけど、やっぱり最大の要因は、「とにかくミリタリー色の強いストパンを!男も戦うストパンを!悲劇も含めた戦場を見せるストパンを!」を求めるファン層からがっちり支持されていることだと思う。
さて。旧版を持っている身としてはやはり「何が変わったのか」をニヤニヤしながら眺めるのが正しいありかたであろうかと(おい)。そんなわけで、おおざっぱに改稿部分を探してみた。旧版持ちで買うかどうか迷っている方の参考になれば。
全般について
- 写植(フォント、文字サイズ含む)を全面的に差し替え
- 公式でも使用されている「ストライクウィッチーズ」のロゴがなくなり、「STORM WITCHES」に全面差し替え
- 旧版で使用されていたフミカネ絵を削除*1
「アフリカの魔女」
- マイルズ、あるいは彼女の中隊メンバーの絵が3〜4割改稿。絵のタッチや目の表現が変わっているし、砂漠特有の「強いコントラスト描写」が薄れているので、読者によっては好みが別れそう。
- 一部台詞の修正。より戦場感あふれる感じになったので嬉しい。
- ブリタニア軍人シンプソン氏の決め台詞時の絵がかっこよくなる。
- 戦闘時や演出の一部描写を修正
ただ、個人的には次を一番評価したい。
- 英語翻訳の多くをさらにブラッシュアップしている。
ただでさえ「和英併記」の同人漫画なんて世にないのに、その総集編でガッツリ差し替えてきたのは素晴らしいの一言。あまり英語は得意ではないけど、丹念に見ていけば「よりネイティブらしく、軍事らしく表現を変更した」ことに気がつく。おそらく翻訳担当の兼光ダニエル真氏や海外のファン達が色々とアドバイスをした結果に違いない。
「砂漠の虎」(前編)
- 旧版になかった英語を完全新規追加。また擬音表現箇所にもアメコミチックな写植を追加。兼光さん、超がんばった!海外ファン大喜びだろうなあ。
- 戦闘シーンの一部で、フレデリカ・シャーロット・ミハイルの描写修正。これも好みが別れそうだなあ。ただ、光源方向を考慮した修正もあるので一律評価は難しいかも。
「砂漠の虎」(後編)
- 前編同様に、英語とアメコミ調擬音表現を新規追加。
- フレデリカ・シャーロット・ミハイルを中心に多くの修正。主に旧版での簡略描写や表情、設定上の作画ミスなど。フレデリカとミハイルの絡みはほとんど全部かも…まあシーンを考えればこの修正は正解。というより「旧版はあわてて書いたので、この機会に一気に修正した」というほうが正解かな。
- グリn…いやさマイルズと愉快な仲間達もいくつか修正。マイルズは旧版の絵がさほど問題なくても修正してたりするんで、野上さんもお気に入りなのかもしれない。真美も一部修正。マティルダはさらにかっこよく。
- パットン親父やブラッドレーの服装修正。軍服マニアから指摘や情報提供があったんかな。
そして一つだけ残念なところが。「アフリカの魔女」にて「飛行杯(Flying Goblet)」を「飛行壺(Flying Pots)」にせっかく修正したのに、ここでは「飛行杯/Flying Goblet」が残ってしまっていた。惜しい!!
「スツーカの魔女」は完全新作なので比較は当然なし。でも、物語の見せ方が「松本零士チック」なのは笑った。そして、シェヘラザードは物語を紡ぐ間、果たして何杯のビールを煽ったんだろうか(苦笑)。
*1:旧版を紹介しているページに縮小表示されているのみ