ジョジョの奇妙な冒険


今期開始第5弾。アニメスタッフの不戦敗。なさけない。
原作ほぼ未読。有名すぎて人気作のアニメ化というのは、制作する方としては色々大きなリスクがある。忠実に作っても「アニメの意味がない」と馬鹿にされ、アレンジを入れると「原作を冒涜している」と言われるリスクがあるからだ。だけど、それでもアニメ化するならばアニメーションとして採用できる方法論を使って表現して欲しいというのがオタクのささやかな願いだ。勿論、前述のような失敗作は数多あるが、「挑戦的」にせよ「忠実」にせよ、その方法で称賛された作品があるもの事実だ。原作からはその要素だけを抽出し、本歌取りの如くオリジナリティあふれる作品として称賛された作品。逆に恐ろしいほどに原作に忠実としたものの、同時にアニメーションとしての表現技法をこれでもかと注ぎ込み、凄まじく忠実なのに新しいという作品。どちらもスタッフが本気で原作に立ち向かった結果だ。
だが、ジョジョのアニメに冠して言えば完全に戦う前から原作に負けている。というか、戦う姿勢すらない。あげく、漫画側の方法論をただそのまま採用してアニメーションとしての存在意義を自らが否定している。絵作りもお世辞にも良いとは言えない。顔と姿勢と擬音ばかりに意識が向かったせいか、それ以外の要素が30年以上前の東映アニメーションもかくや…という状態だ。
となると、本作の楽しみは一つくらいしかない。ようするに「ネタアニメ」としてどこまで笑えるのか、だ。勿論、ジョジョの愛読者であればまったく違う評価が出ているかもしれないが…