めだかボックス アブノーマル

過去作消化(2012)。西尾維新の原型?
正直なところアニメ作品としては取り立てて面白いところもなく、つまらないところもなかった。やっていることはほんの数日に起こった狭い世界での少年ジャンプ力学でしかない。GAINAX作品ではあるが奇をてらったところがあったわけでもない(最終回のみ少しその雰囲気はあったけど)。唯一あるとすれば、この作品のお陰で「西尾維新」の作品構造の原型を簡略化して見ることができた、という程度だろういか。
本作が西尾維新作品であることに気がついたのはずいぶん後のことだ。だからこの当時にアニメ化された西尾維新作品があったかどうかわからない。ただ、「異能者達が能力を使ってバトルする」そして「それだけ」という基本線は、化物語でも刀語でもまったく変わらない。もっともこれだけならその他にも似たような作品は多々あるけど、西尾維新で特筆すべきは、それら能力者は徹頭徹尾「自分のためだけ」に活動しているということだ。誰かを助ける、という行為すら、「それは自分がやりたいから」という自分の欲求にしてしまう。だからめだか達…いや維新作品登場人物はよく語りはするが、それは相手を説得するわけでもなんでもなく、ただ「自分のためだけに語り、自分のためだけに動く」ということを徹底している。どいつもこいつも徹底した利己主義者だ。そこが、他の似た雰囲気の作品と違うところではある…が、結局構造は単純だ。だからあとは言葉の技術で修飾する。その技術が西尾維新は物凄いのだろう。
ということで、あれから2年。三期の話が出てこないということはやっぱりラストのアレはダメだったのかな。少しガイナぽい空気ではあったけど。