戦姫絶唱シンフォギアG

TVアニメ「戦姫絶唱シンフォギアG」公式サイト
今季終了第5弾。不完全燃焼。
大好きな作品だし最終回を見た今でも大好きだけど、だからこそあえて辛口に。「奏者vs奏者」や「英雄否定の人間賛歌」は金子さんがやりたいことそのもの。そしてその方向性は何も間違ってはいない。ただ、第一期の影響でキャラが自由に動き始めたけど当然掘り下げはまだのところに三人の奏者を追加、ソロモンの鍵とフィーネの話を1クールの中に放り込むとどうなるのか…予想通り「とても入りきらない」という結果になる。
第一期が評価されたのは「とにかくやりたいことを情熱そのままに叩き込んだ」その一点突破のみ。作画は汚いし理屈や環境も色々おかしかったけど、それらまとめてひっくるめて「シンフォギアだ!」で納得させられた。だけど第二期は色々やりたいことと雑音が増えすぎたためか「シンフォギアだから」のみで納得させられるには厳しい。この物語の幕開けであった「マムやマリアたちの物語」だったが、収束後の話は一切触れられないまま「響たちの日常」で幕切れとなってしまい、第一期のような綺麗な「発端と終端(と驚き)」の構造もなくなっている。そして根幹である歌も第一期のような「純粋な戦闘歌」ではなく一部アイドルソングそのものといえる形態になり、戦闘時の緊張感やテンポを阻害する部分すらあった。第一話のフックの弱さ、その後の「クリス萌えのみ」*1で数話つなぎ、中盤以降にようやくシンフォギアらしさが出てきたものの、ネタと物語を深く掘り下げ、そして収束するにはとてもじゃないけど足りない話数だったので表面を撫ぜるだけで終わってしまう。
何よりも物語の舞台が「一つの町から世界に広がった」はずなのに、ノイズ災害も映像を見る限りでは「第一期の方がより深刻に見える状態」であり視聴者の印象も変わらざるをえない。「モブに厳しいシンフォギア」と言われているけど、第一期はしょっぱなから一般人がガンガン死んでいて「非常に厳しい世界」であることが印象づけられたけど、第二期は「出たけど被害ゼロ」であり、その後の被害も戦闘職と言われる死ぬ可能性が容易に想像がつく人々のみで、映像だけで言えば一般市民への被害はほぼないとすら言える。これも物語の緊張感を維持するには大きな問題だった。
また、第一期の物語を本歌取りする演出を採用した影響で(個人的にはこういうの大好きだけど)、そちらとの比較を否応にも意識しなければいけかったのも評価が厳しくなる理由。OTONAたちは奏者増加の煽りを食ってほとんど何も出来ないまま終了(司令が歌ったのとNINJAが唯一の成果か)。アニメ子ら三人娘はまったくのモブ。期待されたSAKIMORI演歌第二弾はなかった。どれも舞台や風呂敷がでかくなりすぎて、収束出来なかった結果だろう。キーとなる箇所で第一期の歌を持ってこざるを得なかったこと(最終話のED曲がアレだったし)、その割にはラス前の「撃槍ガングニールだ!」のところでその歌をかけられなかったことのちぐはぐさこそが、この第二期の問題点を端的に示していると思う。
もちろん大ファンかつWAも好きな私としては楽しんだ所も多いけど。「これこれ、これがシンフォギアだよ!」と燃えた展開もあったし、ツッコミしようとしたそばから新しいツッコミポイントが出現したり、ラストのアレはどう見てもWA名物ラギュ・オ・ラギュラでした本当にありが(略(笑)。そこまでわかってるなら素直にWA-7thとしてシンフォギアのRPG作ってくれよ!本来なら三期を期待…とか言いたいところでもあるけど「宝物庫の扉は閉じた(よね?)けど、月が再起動した」という舞台設定は残ったものの、第三期につなぐにはちょっと力が弱い気もするし。

*1:増加予算の大半はここで使い切ったのではないかと(苦笑)。むしろ、これは第一期で片付ける内容だった。