よみがえる空(7)「最後の仕事」

おなじ杉山プロデューサー(の趣味)による作品。萌えもアクションも排除してひたすら脚本と演出で攻めてきた本作だけど、その神髄がテレビ未放送のこの最終回で表現されていたと思う。これまで以上にアクションも燃えなく、淡々とベテラン自衛官の引退(退官じゃないけど)を語っている内容なんだが、「へうげもの」での利休ではないけど、まさに「渋い」の一言。それも「激渋」。ブックレットにもあるけど、この渋さが理解できるのは社会に出てもまれて続けている30代以上の人じゃないとわかりにくいだろうな・・・。
本作は萌とエロとロリが乱舞している昨今のアニメでは、明らかすぎるほどの異色作ではあったけど(これが異色作になってしまう状況も少し悲しいが)、まだ日本のアニメ業界にもこういう作品を作る土壌が残っているということが分かっただけでもとても貴重だったと思う。「アニメではなくドラマで」という声もあるけど、民放でやったら有名アイドルが主役を演じて台無しだろうし、NHKだと演出面は安心だけど自衛隊を褒める番組は死んでもやらんだろうし、何より人死にを前提とした映像作りは実写ではまずありえない・・・だからこそ、アニメという媒体はやはり有効であったのだと思う。ストラトス・フォーと同じく、この作品も是非続編をどこかで見たいと切に思う一本になった。スタッフの皆さん、ありがとうございます。