アストロノト!

アストロノト! (MF文庫J)

アストロノト! (MF文庫J)

ロケット物らしいということで衝動買い。・・・作者プロフィールが一切不明だけど、もしこの物語を10代で書いたなら編集者も育ててみようかな、という気が起こるかもしれんけど、20代以降だったら「出直し」で終了だろうな。物語全体の7割は「オネアミスの翼」をメインに「ロケットガール(1)」のエッセンスを放り込み*1、さらにそこから「科学技術」と「宇宙開発史」をすべて捨て去り、作者に足りない科学(またはSF)素養を『魔法』でごまかした、で説明終了・・・というか、それしかない。流石に読んでて居心地悪かった。で、ラスト3割はオリジナル要素だけど、それまでの宇宙開拓の話はどこへやら。色々ととってつけたような話が細切れに出てきて、さらに完全に消化不良を起こしたまま、最後は「魔法とボーイミーツガール」で終了。
作者の視点で考えると、舞台設定として(誰でも想像はするけど)興味深いものを思いつきはしたけど、それを支えるだけの自身の素養がなく、やむなく『万能の道具』魔法&ファンタジーに逃げ、さらに恋愛を絡ませてお茶を濁したという感じだろうか。なんとなく、作者が書きたかったものはかいま見えるんだけど、その話を説得力をつけて書ききるには、知識も経験も足りなかった・・・という感じだろうな。足りないところを徹底的に補って、自身の素養を数倍にも増やしていけば、もっと良い作品が書けるかもしれない。
少なくとも同じ懸賞作品という意味では、先日読んだ「量産型はダテじゃない」よりかはマシ。

*1:アポロ13」もあったな。