児童ポルノとゲーム・マンガ・アニメ
アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同 - ITmedia ニュース
こういう意見は、一見正しく見えるから恐いんだよな。この手の物は「反対意見が言いにくい空気を持っていて、かつ直接自分には関係ないと思いやすく、弾圧しても反発が少ない」ために、政治や（一定の意図を持った）政治団体うあマスコミからはいつも良いように狙われる。さらに「マンガ・ゲーム・アニメは児童への犯罪助長につながる」ということを言いたい人は多い。･･･のだけど、これまでその相関関係を明確に示せた例はほぼない。また、絵や絵画への波及は裁判でも否決されているのも事実*1。ましてや、この手の規制が日本より遙かに厳しい国が多数存在し、それら国の犯罪率が軒並み日本より高い理由について説明がされたこともない。まあ、彼らはもともと説明する気はまったくないんだけど。
で、彼らの言うことは、ただでさえ曖昧な定義のままで世間で議論がなされているというのに、その曖昧さをさらに曖昧にしたまま規制しろ、さらに裁判所の決めたことは（自分個人は気にくわないので）無視してしまえという法治国家とは思えない意見。･･･どちらかと言えば、衆愚政治と群集心理の行き着く先にあった共産主義という感じか。で、掲げている内容がこんな感じ。
「18歳未満に見えるかもしれない場合は、実在するしないにかかわらずすべて禁止」（欧米人は日本人の多くがティーンエイジに見えるというのを知っての発言だろうな）
「明らかに18歳以上でも、18歳以下を彷彿とさせる物はすべて禁止」（チェック要員の主観がすべてということ）
「写実的でなければよい」（その線引きがまったく示されていない）
「明らかに児童でない人の場合は対象外になると思う」（「明らかに児童でない人」って具体的には？）
これだけ読めば、「じゃあ明らかに18歳以上ならよいじゃないか」と思うけど、日本ユニセフ協会は「女性の人権を守る」活動もしているので年齢に限らず「女性の性が搾取されている」と彼らが感じた物はすべて反対でもある。結果的に、、「児童ポルノ法案」＋「人権擁護法案」の組み合わせで、世のポルノは壊滅させるという野望が透けて見える。（実際には、エロに限らずあらゆる反対勢力/敵対人物をこれだけで社会的に抹殺できるようになるんだけどね）
というかね、本当に児童を性犯罪から守りたいなら、もっと有効かつ直接的な方法を考えるべきなのに、なんでこんな一番遠く、かつ「願望はするけど、実際には違う可能性が高い」所に手を出すのか･･･というところで、この団体の腹黒さが見えてくる。正直、彼らは本当に児童を助けたいと思っているのかは極めて疑問。程度問題で語る話ではないのだろうけど、今の日本より犯罪率の強烈なところはそれこそごまんとある。にもかかわらず一番縁遠い日本で、「関係ありそうで、実際は関係がない」ことに血道をあけようとする･･･裏がある以外なにがあるんだろうか。MSとヤフーが裏についてバックアップしているところから考えると、色々想像できるかもなあ。
ついでに言えば、「日本ユニセフ協会」（wikipedia）は、ユニセフと名は付いているものの、所謂”国際連合児童基金”（ユニセフ）とはほとんど関係がない（協力団体、ということにはなっているけど）。
ちなみに、「署名方式」を選んだのは、敵ながら狡猾。アンケート形式ならば、どうしても賛否が分かれるんだけど、署名方式なら「賛意しか集まらない」。しかも、MSやヤフーをバックにつけたと言うことは、おそらく関連団体に事前に連絡が行っているはずなので、（2chの祭の如く）物凄い人数を動員して署名を行っているだろうと思う。しかも、もともと成立して欲しいと思っている所が行う署名なのだから、当然不正工作は目をつぶる*2。結果、本当に有意な数かは別にして、「何十万〜何百万もの署名が集まりました！これを政府に提出して嘆願します！」と『最初から支援していた政党の議員』に手渡して、民意を伝えるという茶番劇に走る。勿論マスコミは大喜びで取材して、コメンテイターは自慢げに同意する･･･と。ちょっと前に、かなり恣意的設問だった1,000〜2,000人程度を対象にしたアンケート結果を基に、「国民の9割が規制を望んでいる！」と叫ぶ政府のことだ、この数を見て「やはりい国民すべてが望んでいる」と喧伝するのも間違いなし。
ここまでくると、もはや「法律」なんていらなくなる。気にくわなければ、企業を巻き込んでロビー活動＆手前勝手なアンケートをして国に持って行けば、勝手に法律にしてくれるんだもの。もはや、「疑わしきは罰せず」なんて言葉はゴミ箱に入れられ、「僅かでも疑わしいなら罰する」だけでなく「疑わしくないなら、疑わしくさせて罰する」なんてのも簡単。「改訂児ポ法」と「新・人権擁護法案」の組み合わせは、恐怖社会にはぴったりですな。
ついでに。規制を極めて強力にして、真に平和で安定した国家になった例は歴史上存在しません。（このパターンで近いものは、独裁恐怖政治か、共産主義くらいでしょう）
